二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【クイズ】ボカロ曲を好き勝手に【企画】 ( No.265 )
- 日時: 2011/10/22 10:40
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
彼らの声が、私の頭にこだまする。
#03 今までの事、全て現実
ああ。私はこれまで何をしていた? 侵されて、犯された。心も体も全部全部、二人でいっぱいにされた。卑しくて、なんて淫らな姿だろう。
二人に逆らう事も怖くて、全てを知った事をばれるのも恐ろしい。そう考えていた矢先、彼女が私の顔を近づけて、目を合わせた。
「おやおや、悪い子ぉ。もうお目覚めですかあ?」
……気付かれ、た。私は体ごと震えて、泣いてしまいそう。女は、落ちた目隠しを拾ってキスをし、また言葉を紡ぐ。
「目隠しが取れたんなら、盲目にしようか?」
笑顔で、無邪気で。だからこそ、恐ろしい。
彼も外から家の中に入って、無機質なドアの音が響いた。私の事を見た彼は、驚いた表情をする。でもそれはすぐに優しい、紳士的な笑みを見せる。怯えている子羊の様な、何にも抗えない私に近付き、何をするかと思えば、下がっていた口元を両手の人差し指を使って、上げる。声を、荒げて言葉に出す彼。
「ほらほらほら、笑いなさい! 折角の可愛いお顔が勿体無い! 恐怖なんて一つもないから、その目では何一つ見ていては駄目だ!」
凶悪な本性を見せた二人の表情は、落ち着きを取り戻していた。狂気的な笑みもない、けれど。その沈黙がやけに落ち着かなくて、お腹が痛くなる。
二人はいつも通りの笑みに戻った。狂気を見せた二人は、今までのいい二人の毛皮を被って、芝居に戻る。毛皮を被っていても、狂気は滲み出ている。
「ねーえ……ちょうだい?」
ぐちゃぐちゃり。ぶつぶつぶつり。何かが一気に切れる音。
「あぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!? いた、いたいたいたいいたいいたいたいいたいいたいたいいたいぃぃぃぃぃ! たすけて、たすけてだれかああああああああ!」
なにもみえないぃぃ。かのじょのおおきなわらいごえがみみにはいる。わたしのひめいがへやをうめる。あああああああ、じゅうがつさんじゅういちにち、けんかなんてしたくなかった。
………………激痛が私の中を埋め尽くす。少し落ち着いてきた気がするけれど、痛いなんて言葉が似合わないくらいに痛い。死にそう焼けそう。絶望の色は、まっくろくろ。二人に両の目を同時に抉られた私は、ただただ震えて二人の声を待つしかなかった。