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　皆が笑う。自分の事を棚にあげて哂う。


＃01　騒ぎ出した声


　ここだけのお話。最近よく耳にする、噂話。
　私の隣のクラスの先生あーんど、この教室で孤立している、可愛らしいお顔のAさんがらぶらぶー、きゃっきゃうふふみたいな関係。の、噂。
　まあ、いけない事だよねー。インモラルな事だよねー。……噂を流した方が。そう思っても、もう噂の卵は割れちゃって新ウイルス感染的な速さでどんどん広まっている。何を思っても遅い。
　別に人の愛のカタチなんて人それぞれなんだし、先生と生徒の間で、何をしてようとも悪い事なんて一つもありゃあしないのにねー。ただし結婚してるかどうかによる。あとお互いの気持ちにもよるな。
　せっかく二人が息を潜めて、このアスファルトの下の下の下の下のずっと下の地下に鎖を繋いで、大切にしていた普通より少しおかしな秘密が誰かに見つかって引きずり出され、隠す事無く全裸でうっほいうっほいわっしょいわっしょい。渋谷の駅前で丸裸のダンシング。マスコミ共にはどうやら大歓迎。女子高生なんかも大歓迎。お祭り騒ぎ。……噂の話なんだけどー。本当だったらこうなってるかな、みたいな。
　まあ今もこんな感じか。本人達の気持ちが違うかぐらいで。

　翌日。時が経つのは早いものだ。
　Aさんは無視される中、前に仲良くしていた友達の方へ向かうが、典型的ないじめ方法、『無視』という色々な意味で最強かもしれない必殺技を使って、Aさんの心に傷を負わせ、自分たちを守った。わらえるねー。　「仲間に入れてね」だとか「話に混ぜてね」という言葉。その言葉を話す前に避けられる。そんな言葉とそれだけの関係なんてくだらないのに。
　「仲間に入れてね」省略。そんな言葉でつるみあう人達。情報を仕入れるためにつるんだんだ。そんな事を言ってもおかしくない。そんな感じで先祖から続いてきたやましい伝言ゲーム。ターゲットは流れ流されて、健全に。何の異常もなく。
　————彼女は暗闇へと落とされた。

　Я(ヤー)！　調子はどうだい？　

彼女に訊いてみた。無言な状態。

　……らりぱっぱら、ぱっぱっぱら。くだらんね。歌わない？　
　
彼女は俯いたままだった。