二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【クイズ】ボカロ曲を好き勝手に【企画】 ( No.275 )
- 日時: 2011/11/06 21:33
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
掃除しても、どこか息苦しい。
#04 それでも、逃げる道なんて
「……私だったら、そんな情報、知りたくないな。臆病だから」
彼女は自嘲した。
成程、そんな感じか。あくまでも、その嫌な情報は『最終兵器』として扱っているのか、彼女は。
——虫食い跡の残骸に、そんな私に、あなたなら何を埋める?
ふと、訊ねてみた。前々から何か足りない物があると思ってたの。小学生の頃には、ちゃんとあった筈なのに、今この状況を見たら、私はどこかで何かを落としてきている。だから、親にも、親戚までも、写真に写る幾多の目にも、怯えてしまっているんだ。
情報を知りたくない彼女だからこそ、私の全てを話した。私が穢れてきた事も、全部。体だって、穢れてんだ。今の私は、ボロボロで穴だらけ。全て虫どもに食われてしまった。人に、食われた。そんな残骸。
彼女は悲痛に顔を歪めた。今にも泣きそうな、私と違って優しい顔。
あなただからこそ、やましい気持ちが募ってできた私の弱点である尻尾を、特別掴ませてあげる。
——見えちゃうソレは見ないけど、見えないアレはどうしても見たいのです。なぞなぞです、その答えは何でしょう?
それは、短い丈のスカートの中身が見えちゃうと気が萎えるけれど、膝丈スカートの中身を見てみたいと思ったりするそんな感じのもの。
知らないものほど知りたいのかは知らない。けれど知りたい。人間の性。
「わかんない! けど、私はあなたの隙間に、愛を埋める事はできる」
彼女の屈託のない笑顔を、初めてみた。それだけで私は幸せな気持ちになって、改めて彼女の味方になれてよかったと思う。
あることないことばっかの、彼女についてのチョコレイトを、今日も飽きずに舐め続けている。真偽はどうだっていいんだって。どれだけ甘いか、それだけ。どれだけそれが、自分の気持ちを満たしてくれるか。
彼女が退学して、甘さが一層とあがったみたいで、また今日もひそひそと彼女を哂っている。被害者が居なくなっても、噂は絶えず流れる。
銀紙の中身を暴けば、きっと分かりやすく人は群れるんだろう。けれど、その中身を知っているのは、彼女と、あの先生と、特別に彼女から教えてもらった、私だけ。私たちの心は晴天なので雨が降る事はないけれど、きっと他の人達は曖昧な曇り空だから、その裏で誰かが黒い雨を降らしているんだろう。
綺麗ごとは相変わらず嘘くさくて、下世話な蜜が相変わらず真実と思い続けているけれど——あなたもそうでしょ? 大切な事を知っても、そう思わずにはいられないんでしょ? 私も勿論そうだけれど。でも、そんな真実って。
————なーんか、嫌だね。
end / 腐れ外道とチョコレゐト