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　ああ、いやだなあ。


＃01　ずれている考え


　自分の事を考えすぎなメッセージ。まるで不幸なヒロイン気取り。こんなうすっぺらい、一枚の紙が、どれだけ重要ってことを知らない私。自分のために書いてみただけで、誰に届くかも知らない私は。
　多分人とは、ずれている考えなのだろうか……いいや、その逆かもしれない。人に構ってもらいたくて、わざとずらしている。マトリョシカの中でも、きっと継ぎ接ぎを狂わせているマトリョシカって、言えるだろう。
　はあ、頭の中で頭痛が大暴走しちゃって、今の私は元気などない。いつも元気じゃないんだけど、まあその、いつもより、ってことである。
　頭痛持ちの私が、歌って吐き出して部屋に溜まる荷物は、いつになっても片付かない。いつまで経っても時計の針は四時のまんまで、誰も私の世界になんか来て現状を教えてもくれやしないから、世界は私の世界と逆さになって回りだした。私が地球に反抗してるのかな？
　あぁあ、全部割れちゃいそうだなあ。頭痛がさっきからがんがんと鳴り響いて、痛みを忘れるために記憶を全部投げ出して。おともだちって、誰でしたっけ。おともだちの割には、ひきこちゃんを助けに来ないよなぁ。忙しいのは、分かってるんだけどさ。
　ああー、知りたいなー。好きだったあなたのことを、もっともっと、深くまで。……あ、訂正。今でも恋してるあなたのことを、全部知りたいなー。でも誰も来てくれやしないなー。どうしてかなー。

　——あのね、もっといっぱい舞って頂戴！　って、言ったんだ。君は一瞬戸惑って、私に手を差し出す。

「もっといっぱい舞って頂戴」

嬉しくって、嬉しくって、手をとって踊りだす。
　カリンカだっけ？　マリンカだっけ？　流れてる曲に合わせて、見える背景に合わせて、弦を弾く音が聞こえる。どうしてこんなに幸せな光景が、私の目の前にあるの？
　あなたの好きなロシアで結婚式をあげている。花嫁姿の私が居て、花婿姿のあなたが居て。辺りにはロシアに咲く花一面で。
　この溢れてくる感情をどうしようか？　ねえあなた、ちょっと教えてくれない？
　感度良好、意味など無いよ。フロイト？　ケロイド？　適当な言葉を並べて、それに合わせて鍵を叩いて。
　——気付けば、眠りに落ちていた。ああもう。全部全部、笑うしかないじゃん。笑っちゃおうぜ。
　
「——さっさと踊れよ、馬鹿溜まり」
　
ってさ。誰が私を哂ってるんだろう。哀れすぎて、見ていられない私の姿。
　誰かの手のひらの上で、動けってことなんですね。憂鬱に鳴る時計のうざったい時計を止めて、時間を見た。午後四時の事だった。