二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.32 )
- 日時: 2011/03/28 13:23
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: 6sz9.CTE)
根本的にみんなおんなじ。
#03 みんなおんなじ
「やあ」
彼の家の前のチャイムを押して、彼の顔が見えて来た頃に適当に挨拶。
「やあ。じゃ、行こうか」
彼は優しく笑う。そして財布と携帯が入りそうな小さいショルダーバッグを肩に掛けて、二人で並んで歩き出す。そういや、このオレンジのショルダーバッグ、私があげたんだっけ。ふへへ、青春ですな。
電車の待ち時間に、二人でよくあるベンチに座って、手を繋いでいた。
ここで迎える暖かい春の日射しも忘れるのかなー。と思いつつ、小刻みに震えている冷たい君の手を少し強く握る。
「……アンタ、怖いの?」
喋らずに手を握るだけだったカップルの一人、つまり私が彼に声を掛けた。
「何でそうなるんだよ」
「手、震えてるから」
ふと見てみると、やっぱり震えている。何コイツ面白い、と思いつつ、笑いを堪えていた。
「うん、怖いよ」
「そっかー。大丈夫だよ、私が居るからさ」
「ありがと、愛してる」
な、なんだって! こう言う恥ずかしいのは嫌いなんだよねー。とにかく急場しのぎで歯の浮くセリフを張り合わせて私も言葉を出す。
「私も、愛してるよ。とんでもない位に」
うげええっ! 吐き気がするぜ。どっぷり漬かったこういうグロい夢も、甘く染まっちゃった時期があるなあ。小さい頃はダメ脳内でしたね私。
中には何も入ってないからっぽのラブソングを、投げやりに歌う。愛してるだなんて甘い言葉を言い合う仲は嫌いだ。
私の本当の気持ちを隠す様に、ラブソング熱唱。心には? 何もありません。らぶらぶするのは嫌い。無愛想に、ぶっきらぼうな愛で良い。静かに、無口な愛で良い。
みんな同じ、まともじゃないからね。君は好きだけど、君の甘い性格は嫌い。まともじゃないからそう思うんだよ、悪いか。
何だか甘い言葉を繰り返して頬ずりする彼に悲しい感情を抱いて、かりそめの恋をダビング。
本当に愛されてるんだかねぇ。