二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.336 )
- 日時: 2012/02/01 21:35
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: B★RS3 二人の私はどうしても鬱だった。ブラックロックシューター目線
傷ついて、閉じこもって、傷つけて。
#03 星
また、夜だった。眠りから覚めても光景は変わらない。
鏡の向こう側に居るあなたは悲しそうな顔をして誰かを呼んでいた。誰を呼んでいるのかは、分からないけれど。
——あれだけ、嫌われたのに。まだ人を愛しているのか。呆れ気味につぶやいてみる。この夜が明けないことが怖くて、声が震えている。誰か、私の名前を呼んでよ。あの子もそう願ってるから、誰かを呼んでいる訳であって。私だって、あの子が正しいって思ってるけれど、私を、あの子を裏切った奴の顔を思い出す度に、苛立って泣いてしまう。
いや。傷を負ってまだ立ち直れないだけなんだ、私が。あの子はもう既に立ち向かおうとしているのに。私だけが、生きる理由を探しているんだ。
夜明けを抱く空。淡い光が少し差して、空は薄い紫色になる。そこで睡魔が襲い掛かるのは、毎度のことだった。なんとか起きていようって我慢しても、その先を見ることも怖くって目を背けてしまう。
闇と光の境界線までの距離は、あと一歩なのに。そのあともう一歩が届かない。朝を迎えることが怖い。人と顔を合わせることが怖い。
目を閉じてからまた夜を見つめる。いつまでも踏み出せない自分が恨めしくなって、昨日こらえた涙が溢れそうになる。
今までに何度泣いただろう。一日の初めの夜が見えると、無性に泣きたくなる。むしろ、泣いた夜の方が多かった。それでも自分に泣いてないと言い聞かせて、上を見上げる。空はやっぱり黒一面。空しいことこの上ない。
それでも下を向かないのは、もう二度と前を向けなくなってしまうから。あの子のためにも、ちゃんと答えなきゃ。あの子のためにも、ちゃんと傷つかないようにしなきゃ。
私もあの子も未来を生きていたいんだ。自分が泣いている意味がわかったの。生きたい気持ちを思い出して、強く強く、信じるの。
そうよ、ブラックロックシューター。私とあの子が別れる前だった優しい匂いを思い出して。周りに人が居て、暖かかったあの時を。
裏切られた記憶は痛いし、辛いよ。それでも、生きていたいからそれを全て飲み込む。突き刺さる言葉も、全部。飲み込んで前を向く。
ブラックロックシューター、動いてよ。流れ星に祈って叶うならそれでも構わない。
「この足を、動かしてよ……!」
綺麗な夜空から世界を超えて、この星も映らない夜空に。映ってよ、ブラックロックシューター。