二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.342 )
日時: 2012/02/09 20:08
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: 月乃1  このワルツ調がたまらない。なんか太陽と月って綺麗ですよね

 どうして、こんなに距離が空いているのか。


#01 行方不明


 君に置いていかれて、夜の隙間の中に迷い込んでしまった。想え、思うほど損な話の様で。いくら君を想ったとしても、いくら思考を捻らせてみても、そこには何もない。そう、私の様に。
 どうしてこんな落ちこぼれの塊みたいな私が、生まれ落ちてきたのか、意味も意思も全く分からない。分かれない。
 全知全能の神様は、どうして私に命を与えたのか。どうして私なんかに与えたのか。どうにも、分からないのさ。今生きている意味なんて、今歩いている意味なんて。
 君が見えないのに、生きている自分の意志すらも、理解不能。きっと君がまだ存在していると思ってるから、道を歩いているんだろうけど。
 本当のことは分からない。私がどこに居るのかも、あなたがどこに居るのかも。
 君不足で乾いた、私の心を写したかのように、乾ききった夜空。ただの黒。星なんて、明かりに邪魔されて何一つ見えやしない。ただつまらない夜空を見上げて、見つめていると、月の光が眩しく光る。

 ——月も私を嘲笑する。私も月を嘲笑する。

似た者同士ね、って二人で泣いて。
 
 太陽に照らされている月は、どれだけ太陽に恋しているだろう。何よりも遠く、儚く終わる時間。太陽にとっては、休む時間だろうけれど、月にとっては短く、そしていつよりも嬉しい一瞬。
 届かないけれど、光に恋する。似た者同士な私たちは、いつだって太陽を探している。星の数だけ希望があるってどこかで聞いたはずなのに、いつの間にかカナリアは、星を引き裂いていた。
 私が書いたはずの文章は、届いたんだろうか。無数にあった星が一つも見えない夜空を眺めて、一抹の不安を感じる。
 私の中で君はいつまでも君のままで。優しい笑顔を浮かべたままで。それでも、私は誰なのか。君が居ないから、君が私の名前を呼んでくれないから、私を示す名前が分からない。どこに居るのかだなんて、分からない。君が行方不明になったから、君が居た時の私も行方不明で。
 星の代わりに町を照らす薄明かりの中に、夢を抱いて、歩く。