二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.352 )
日時: 2012/02/26 23:02
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: キミナシビジョン2  30分クオリティ。

 そうして僕は、独りで想う。 


#02 割れた思い出を、抱き寄せて

 
 今も昔も変わらないんだ。昔から変わったんだ。あの時に僕は前に進めなくなっちゃって。分からなくなって。
 そう。あの時、気がついた時には、前を向いた時には、君がいなくて。僕の隣にいたはずなのに、いつまにやら、隣にはいなくって。そんな未来、見えているはずもなくて。見ていたはずもなくって。これからの未来も見えていなくて。僕らが前に足を進めている未来を想像して、ほらでも、また泣いてさ。
 傷が痛い。気を紛らわせようと自分で傷つけた手首を見て、痛くなる。手じゃなくって、心が。君がいなくなったことを実感しているようで、悲しくなる。ずきずき、ずきずき、と。思い出が、君の姿が、君の声が、君の全てが。心を突き刺して、痛くて。深く僕の心に根付いて、痛い。それでも君といたいという気持ちがある。その気持ちさえ痛いのに、まだ諦められない。
 いつか背負った涙は、もう零れてしまっている。最初から零れているんだ。ただ独りで閉じこもって、ただ独りで泣き崩れて。きっと私だけじゃないんだって分かってる、分かってるのに。それでも、背負うことのできない、重い涙。想い、涙。

 君はどこにもいなくてそこにもいなくて、ずっと昔に存在していたことが嘘みたいなのに、いなくて、私が生きてるのにいなくて。どこを探してもいなくて、いつでも探して、いつもいないってことをまた知って泣いて。
 君しか見なくて。明日なんか見えなくて。天気も記憶も見なくて見たくなくて、そこに光も人も無くて。何も無くって。
 涙をぼろぼろと落として疑問が出てくる。ああ、今僕が生きている場所はどこなんだろう。君がいないのに生きていて、君がいないのに立っていて、君がいないのに呼吸をしている。本当に僕はまだ生きているのだろうか。君がいないから——君が、いないから。僕はちゃんと世界の中で生きているのか分からない。世界から離れた場所にいるようで、どこにいるかなんて、全く。
 君が相変わらずいなくて、いなくていなくて、いなくて、探してもいなくって、何も無くて、泣くよ。また涙が零れる。たくさん、泣いて。
 昨日も思った「精進する」という言葉なんか、忘れて、頭の中から消え去って。そして明日も僕は泣いて俯いて沈んでいく。

 ————親不孝者で、ごめんなさい。

誰一人さえ、僕の周りに居ないのに。いつまでも落ち込んだままで。どれだけ身内に謝ろうと、僕は光なんて目に見えない。

「孤独は、嫌だよ……」

ぽつりとひとり、たったのひとりで、ないてつぶやく。