二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.356 )
日時: 2012/03/05 20:56
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: ジェミニ1 サビはレン。それ以外リン。

 一人、二人。暗い道でもきっと大丈夫。


#01 君が呼んだなら、


 夜空を見上げる君を僕は見下ろす。どれだけ離れていたって、僕らは天かける星座の裏表なんだ。誰よりも近くて、誰よりも同じ。だけど、それは別々の存在。二つは二つ。一つにはならないけれど。それでも僕らは、この手をずっと離さない。
 風がさざめく穏やかな昼も、何かが壊れそうな切ない夜も、空をこえて、惹かれあう関係。

「——惹かれあうジェミニ、さ」


 ふと、目が覚めた。冷や汗が全身に流れて、気持ち悪くなる。時計を見ると午前二時。とてもこわい、夢を見たんだ。
 いつかの未来予知。世界滅亡の予言。目の前で皆が消えていく光景が映った。お母さんもお父さんも、大切な人が皆、消えてく。その中で一人だけ、生き残っている。世界が終わった先には、私は終わっていなかった。独りぼっちで、ただただ泣いている夢。
 汗だくになったパジャマを着替えて、再度ベッドに潜りこむ。だけど、眠ろうと目を閉じても眠れない。あの夢が本当になっちゃいそうで、こわくって、思い出してはひとりで震える。こんな時に、誰か、誰か。助けてよ——。

「この空が泣いて、落ちたような悲しみも」

胸の奥から、暖かい、懐かしい声が聴こえてきた。優しくてまるで子守唄でも聴いているようで。

「ゆっくりと溶かして、幸せに変える暖かいリズムさ」

この安心感を、この幸福感を消えない様に抱きしめて——。 


 一人で道に迷って、先が見えなくて不安な時は、目を閉じて君の物でもある、僕の物でもある、鼓動を感じて。僕の声を感じて。絶対僕が力になるよ。君の隣で、ずっと唄っておくよ。
 君は決して独りじゃないから。かじかんで、動きたくないような朝でも、気だるくて、動きたくないような午後でも、不安も悲しみも劣等感も、溶かしていくような音で、消していくから。この音で君と僕は繋がるんだ。
 すっかり眠りについた君を見つめながら、僕は微笑んだ。