二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.357 )
- 日時: 2012/03/06 20:19
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: ジェミニ2 場面がとびとびなのは心理描写だからなんです><
いつでも傍に居るから、忘れないで。
#02 君の中で在っていられる
不安が消えたらまた一つの不安が増えるというのは本当だった。
極端に夜が嫌いな私だからだろうか。夜というものは、暗いからなのか、なぜか不安な気持ちが芽生える。怪物だとか、幽霊だとか、殺人魔だとか。そういったものが出てきそうだから。寝ている間に、皆殺されちゃったらどうしようだとか。
しかし今日は、そんな不可思議な、滅多にない理由で不安なわけではなかった。
怯えているのは同じだけれど、人の文句をきいてしまった。なんでもいいって、その時ははぐらかしてしまったけれど。それでも、それでもなんだか怖くって。
振り返ったら誰も居なくて、自分一人。独り。今まで仲良しな人たちから、こんなに離れてしまってたのか、こんなに遠くまで来た。そんな気がしてならない。人に怯えて逃げてるみたい。もしくは人が私から逃げてるみたい。
どこまでも自分しかいなくて、怖くて震える。夜のしじまに消されそうで。世界から消えてしまいそうで。殺されてしまいそうで。誰でもいいから。
「誰か、誰か。応えてよ……」
か細く、それこそ暗い闇の中に消されるほどの声を出す。数秒して、私の声に返事が返ってきた。
「いつまでも深く暗い、この海が裂けたような悲しみも」
いつもどこかで聴こえていた、小さな小さな優しい音。いつの間にか聴いていた、私を支えてくれた音。
「それすらも滲んで、優しさに変えてくれる懐かしいリズムさ」
だから、と。彼は言った。この音を、この声を、この僕を、消えないように受け止めて。
ねえ泣かないで。寂しいときには、僕の声に耳をすまして、体をゆだねていいんだよ。眠ってしまっても、忘れてしまっても。この優しさだけを、忘れないでいてくれたら。
心の空に雨が降って、どしゃぶりになっても、夜が明けて外に行くときも、君と僕で回る地球さ。君と僕で、いつまでも生きていられる世界さ。