二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.36 )
- 日時: 2011/03/31 00:19
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: 6sz9.CTE)
君は、それは、ただの幻想。
#01 幻想に微笑む
拗ねて、俯いて、帰り道を歩く。君が好きだったから。泣きたい。君が好きだったから、君じゃなくなるのが嫌だった。私が知らない君が居るって事を否定したかった。たった、そんだけ。自己中心的な、私の考え。
分かった様な、理想の言葉ばっかを並べて、君の事を作り上げていた。でもそれは、勝手な私の願いであって、君の本当の姿じゃない。
私は本当の君を、見たくないとばかりに、『自分自身』と言う名の狭い部屋に鍵を掛けて、閉じ込めていた。本当の事を、理解したくなかったから。君が他の子に興味があるなんて、そんな事実を、受け止めたくなかったから。
でも、他の子を思う君の顔を見て、ショックになった。自業自得なのにね。私を愛してくれる君は、どこにも居ないんだ、って改めて思い知らされた。
「君は、今どこに居るの?」
なんて、届きもしない声を忘れた名前と共に声を出さずに叫ぶ。気が付けば、私の体に、もうカタチすらない、君だった幻想が残ってる。そんなに純粋な恋だったなんて、私も驚き。逆に笑っちゃう。
そしたら、この恋はここで終わってしまうのかな。君が君じゃなくなったら、この恋を続ける意味は無い……のかな。
でも、でも。まだ諦めたくない自分が居る。だけど、もうこの恋が叶わないのは知っている。会わなくても何も変わらない。私と君の関係はそのまま変わらない。変わらないんなら、少し位特別にしたって良いかな?
その時に、私は決めた。本物の君に会いに行くんだって。ここで「ああだこうだ」って理由を付けて悩むよりも、会いに行ってから気持ちを伝えて振られる方が、この憂鬱な心は軽くなる。それに、会いたいし。
だから、会いに行こうって決めたんだ。その時に、後ろから強い風が吹いた。多分、その風は春を告げる風だったんだと、今は思う。
二人の花びらが、舞い散る。ひとひら散った。