二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.360 )
日時: 2012/03/08 19:35
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: ジェミニ3 レンのターンですよみなさん

 僕が歌って君が笑って、支えあって回っている。


#03 小さくて大きくて、


「道に迷って不安な時は、僕が手をひいてあげるから」

君が辿り着くべき場所まで、導いてあげるから。

「だから君は、目を閉じて僕を呼んで」

すぐに、駆けつけるから。鼓動を一つにするだけで、僕らは光になって走れる。一つのようで二つのようで、個別でありおんなじ僕ら。かじかむ朝も、気だるい午後も、この音があれば二人は繋がっている。

 迷路の中に迷い込んだその鳥は、叶わぬ恋に胸を焦がした。空に恋をしたが、空に適わず落ちてしまった。想定外。予想外。そんな、見ることのできない、不確かな明日をただ生きるのも、ささやかな力も消えるほどで。ほんのわずかな自分の力も、ちょっとしたことで家出してしまう。
 それでも、焦らなくていいよ。ゆっくりしてけばいいよ。それは新たなチャンスということで、不幸以外の何かが、自分のもとへ来るということだから。不幸が起こったときは、僕が慰めてあげるから、僕のもとへ来ていいんだよ。ここに来て、羽を休めて。そして、傷ついた心を癒して。全てのことに疲れたなら、僕のところに来て泣いてもいいよ。
 ——泣き止んだら、愛の歌を一緒に歌おう。ずっと君を元気にさせるために一人で歌ってきた歌を。いつか、僕が居られるときまでに歌えなかった、あの愛の歌を。


 幻に見えるようで、幻じゃない。君はずっとそこにいたんだ。見えないところで気付いてた。見えないところで聴こえてた。
 私が鳥だとするならば、君はきっと傷を癒してくれる人。仲良しな人、好きな人。不安が重なって積もって、大きくなっても。零に戻してくれる優しい君は、ずっと隣に居たんだ。ずっと隣で歌ってたんだ。
 久しぶりに見ることのできた君に、もうこの世界には居ない、君の姿に驚いて、涙が出てくる。私よりも全然小柄な君の姿。もうこんなに大きくなっていたものかと、自分でも驚く。そして、君との差がついてしまったことに、悲しくなる。
 それでも、君と歌えることが嬉しくて、自然に、涙が溢れて零れる。

「ありがとう、レン」  

 私の中でずっと生きていた、私より大人な弟に向けて。