二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.371 )
日時: 2012/03/18 22:01
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: BC3 正直意味のわからない文章でスマソ

 崩れかけたもの、崩れきったもの、崩れていくもの。


#03 突き刺されて、喪失した


 ああ、頭にこびりついたまま、離れてくれない。
 君が焼けて死んでしまった、あの光景が。あの場面が。何度も何度も、私を苦しませるように繰り返される。誰が哂っているのだろう、神様なんていないのに。
 今。この世界に、この宇宙に、もし神様が舞い降りてきたのならば、私はきっと神様に縋って願って祈っているんだろう。全知全能の神様に、頼み込むのだろう。私のせいで死んだ彼と、一緒に居られるように。……なんて、妄想して。一番嫌な別れを見せ付けられたあとに、一番幸せなエンディングを、平凡な別れを夢見ている。
 空に浮かぶ雲から雨が降る。小雨。ちょっと触れたら、ちくりと体を刺すような痛みが走る。
 
「痛い、なあ」

 そんな痛みも、慣れてきてしまっていて。
 少しずつ、溶けていく指先。溶けた先には、私の指だったであろう、液体が目に見える。
 心の中に白が浮かぶ。生きている君の存在が、この場所で支えてくれる君の存在が居なくなったことで。浮かんだ白が広がっていく。心が無色に染まっていく。しぶとさも、力も、何もかも無に変わる。たった一つ、未だに色づいているのは、君のこと。君への想い。君はもう居なくなったのに、ね。きっと灰色の空の向こう、青い空の向こうに居る君のもとへ生きていたいんだ。
 自分の心を見つめれば、自然に、地球に壊されて、砕けて舞い上がる体。崩れていく自分が目に映る。砕かれた君が心に映る。君の想いだけはまだ壊されていない。なぜか、小さな安堵感。
 
 君と私で、お互いに穴を塞ぎあっていた心が、塞げなくなった。塞いでくれる相手が、居なくなった。何とか形を保っていたのに、ぼろぼろと崩れ始めた感情が、狂い。狂って。ぼろぼろ、崩れ落ちた私の欠片は、雨によって流されていく。
 当たり前の、絶対の運命でも。零れ落ちる声は、それと相対する。
 涙が、零れ落ちる。体を動かそうとすると、焼けるように熱い。焼けるように痛い。実際、雨に焼かれている最中なのだけれど。
 どれだけ痛くても、私は運命に抗いたかった。抗っていたかった。それがもう終わっていたとしても。また、笑った顔が見たかった。
 嘆くほどに、願う。 

「離れないでよ……」

喉は熱くて、声が出なくて。振り絞った声が震えていて。
 なんで、約束したのに。
 空から笑い声なんて聞こえるはずもなく。その代わり、なぜか雨が土砂降りになった。