二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.372 )
- 日時: 2012/03/20 09:52
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: BC4 参照3500ありがとうございます
世界に流されて、終わる。
#04 完全に、溶けきった
土砂降りになっても、それでも外に居た私は、体が原型を留めなくなっていた。激痛が、私を襲う。こうして君も死んだんだ、こうして私も死ぬんだ。
皮膚が、体が雨に焼かれていく音が耳に入る。あまりの痛みで、私は奇声を、悲鳴をあげていた。それでも、まだ生きていたい他の人は、騒々しい、近所迷惑な叫び声を聞いても誰も私の場所へは来ない。本当は、気付いてるくせに。私たちが、死に向かってること。地球も終わりへ向かっていること。全部全部、未来のこと分かってるくせに、まだ命が欲しいだなんて、馬鹿みたい。
……さよなら。さよ、なら。目は空に向く。ぎりぎりの所で機能して、ぼやけつつも灰色の空が目に映った。いつまでも、変わらない、なあ。それどころか更に澱んできたように見える。
後悔も何もない。なんて、嘘。幸福な時間が欲しかった。幸福な世界が欲しかった。それでも、私たちは気付いてた。幸せな未来なんて、生きているうちはやってこないこと。青い空なんて生きているうちは見えないこと。それなのに、願っていて。君とあの空をもう一度眺めたいと。平凡な毎日で過ごしたいと。
無理で無茶で無意味なのに。それでも、無意識に。いつもいつも、願っていたこと。
最初から最後まで愚かだった。人間が生まれてきたから、人間が頭脳を持ったから、私たちは最後に苦しんで、最後に涙して、死ぬのか。愚かな、愚かなこの世界で。焼けて、泣いて、叫んで。
今、私は完全に終わるの。完全に生を終えて、君のもとへ逝くだけ。
痛みが全身に回る前に、私は力を振り絞って、世界に別れを告げる。
「さよなら!」
本当に、さよなら。
私たちは最初から最後まで進めなかった。ずっとここで、語り合って笑いあって、涙して、喜んで、喧嘩した。広くても、その広さを知らなかった私たちは、小さな、愚かな、この世界で。この場所で。今、このまま。
「このまま…………で」
end / BC