二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.38 )
日時: 2011/03/31 18:18
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: 6sz9.CTE)

 会いに、行く筈だったんだけど。


#02 勇気はデリケート


 思ったよりも時間が流れるのは早いらしく、小学校の儚い失恋から、一年が三回した。そして今は中三。

 季節は、私を置き去りにした。本当の君に会いに行こうと思うと、人に流されて君の所へ行けない。辿り着いた場所は、いつもどこか道を逸れている。本当は会いに行く勇気と、傷つく事が怖いだけなのかもしれないけれど。
 だけど、もう二度とあの日の君を作り上げる事は出来ない。戻る事も立ち止まる事も出来なくて、ただ下を向いて前を歩く事しかできない。

 「ごめんね」と「ありがとう」の言葉を伝える為の勇気が欲しい。
言おうと思っても、実行する気はない。勇気って言うのがどんなに凄いもんか痛感。傷つくなんて、私にはできない。繊細だけど広い、そんな心を私は持ってない。
 確か、その言葉を伝える為の旅に出たのは失恋した後。あの頃は伝える為に精一杯だった。いつ頃に小さく前に歩き出したんだろう。いつ顔を下に向けたんだろう。いつ、その勇気を捨ててしまったのだろう。
 一回諦めてしまったけれど、まだ足は止まらない。それじゃあさっさと走って向かおう。多分、チャンスはこれだけしかないから。四月からは学校も別々だし、この気持ちを伝えるのは、きっと今しかない。

 あの日会えなかった君に会いに行ってみよう。あの時伝えられなかった、途切れ途切れの言葉を集めて。心地良い春風に私の想いを乗せて、全部君へと届けたい。
だから、会いに行くんだ。後から彼に見せる涙も、笑顔も全部、今の私なら受け止められる筈だから。

 
 ——今は、一生懸命走るから。君に会いに行くために。