二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.384 )
- 日時: 2012/04/14 12:46
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: オドロシライダー1 久々の1000文字越え! よっしゃー!
そんなの受け入れられるはずないだろ。
#01 現実許容量、オーバー
ある朝、目を覚ます。窓から差し込む眩しい光。窓から見える、奇妙な光景。きっと夢だと思って、また眠ろうとする。僕は一体、この行動を何回やっているだろう。百回もしただろうか、分からない。ただ分かる事は、目を開ける度にそれが悪化していってるって事だけだった。
——三十分前ぐらいの出来事。
起きれば、お父さんとお母さんは既に仕事へと出かけていた。
僕は、素敵なあの子の家へと向かった。デートの約束をしていたから、あの子の家に迎えに行ったのだ。それなのに。インターホンを押してみる。しかし、返答は何もない。何度も何度も、迷惑なぐらい押したのに、それでも出てこない。……まさか、嫌われたのか? それなら連絡して騙すとかあるだろう。信じたくないだけだけど。
勝手に家の門を開けて、玄関をノックする。……まあ、インターホンで出てこないのに、ノックでは出てこないよな。当たり前のことだ、と不安をごまかして、扉を引いてみる。がちゃり、と音が鳴った。
鍵が開いている。彼女はちゃんと中に居るのだろうか。まさか寝坊だろうか。不安がいっぱいだったり、安心したい未来があったり。不法侵入じゃなく、これはあくまでも確認だ。扉を、ゆっくりと開く。
「何か、臭くないか?」
少なくとも、イメージとは違う。と言うより、いつも香る、彼女のいい匂いではない。出した言葉は疑問系だが、これは確実に臭い。
何かが、腐っているような臭いが辺りに蔓延る。あの子の部屋へと足を進める度に、その臭いはきつくなっていく。
それでも、歩く。あの子の部屋の目の前に着いた。顔をしかめ、鼻を押さえて。嫌な予感が頭を過ぎりながらも、それを掻き消すようにして、君がいびきをたてて眠っている、ギャグコメディ的な未来を夢見ている。
「失礼、しますっ……!?」
——どこよりも臭かった。どこよりも腐ってた。
君の部屋に君が居なくて、その代わり、ゾンビが居た。
初めて見るゾンビはとってもおどろおどろしくて、目を見開いて、こちらを見ていた。目が合って、恋に落ちるなど。あるはずもない。僕は今恐怖でいっぱいで、落ちる穴などとうに埋められた。
ゾンビの首筋で、光る何かを見た。僕は泣きたくなる。僕は死にたくなる。どうして、どうして。
どうしてあのゾンビが、僕があの子にあげたはずのネックレスを持っているんだ。
————ああ、消えた笑顔。
僕の顔からも君の顔からも。笑えるはずが、なかった。