二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.385 )
- 日時: 2012/04/14 15:13
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: オドロシライダー2 全然進んでないぜ。多分5部構成かも
切実な叫びは、おどろおどろしい叫び声に掻き消される。
#02 瀕死状態←色々な意味で
僕はすぐにそこから逃げ出した。
まさか君はゾンビになったのか? ——いやでも、そんな非現実的な事があるわけない。
だから僕は、夢から覚めるという選択肢を選んだのだ。こんな現実なんて、僕は嫌だ。家に戻り、部屋に入り、そして眠ったり起きたりを、何度も何度も、繰り返してるのだ。……それでも、覚めない。それでも、夢じゃないのだ。
「あーもう。最悪だよ…………」
心がズタボロにされた。刃物で突き刺されたみたいな痛みが、まだ消えない。せめて君だけでも戻ってこないかなあ。いや、僕がこの世界から過去に戻るべきか。それともそれを現実と呼ぶべきか。いやはやそれこそ夢だろうか。頭の中ごちゃごちゃに掻き回された。あの子に。
——その日から。それから。君がゾンビになってから、近所で遊んでた子供も、お世話になってたお隣さんも、基本的正義の味方のおまわりさんまで、皆ゾンビを化して、群れをなして。ああ、これはなんて光景だ。
窓からただ見てるけど、酷くて惨くて、吐きたくなる。人を喰らう。そして、喰われた人はまたゾンビと化す。肌が変色に、肉がポロポロと落ちる。キモチワルイ。もしかしたら、僕の両親もこうなっているんだろうか。大事な人を、僕は一人も守れないのか。
————大好きなあの子を守りたい。なのに、守る前に得体の知れないモノになって。ただそれだけ願いなのに。別に大した事のない、愛しい人が居たら、誰だって思う小さな願いさえも叶わないのか。
それなら殺してしまおうか? 君を殺してしまったものを、絶滅させてやろうか。
ぼろっちいギターをおもむろに取り、僕は玄関へと走る。
玄関を開けて外を見る。ゾンビだらけ。街中腐臭が蔓延していて、辺りの空気を吸う度に、鼻から頭へと臭いが上って、頭痛が起きる。
それでも僕は、叫ぶ。
「あの子を僕は、守りたかったんだよ!」
奇声に掻き消されて、それで終わり。僕の心情なんて、ちっぽけなものなのか。