二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.388 )
日時: 2012/04/28 16:31
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: オドロシライダー4 五部構成は嘘で6か7はいきそう

 過去を偲んで夢の中。闇に忍んで過去の様。


#04 楽しかった、思い出?

 
 自転車とギターを装備して、ゾンビ狩りの旅に出た僕は、自動販売機の前に座り込んでコーヒーを飲んでいた。
 街は相変わらずにゾンビだらけだが、この細い中道に居たゾンビは全て僕がぐちゃぐちゃのめちゃくちゃにした。大体は、知能と正気がないためか、街の中心部など、目立つ場所に出没しているらしい。それが、今までゾンビを殺し、ゾンビの行動を見てきて学んだ事。あいつらは馬鹿だが、僕はまだ理性があるからただの動物ではないのだ。
 空を見上げると、月が僕を見下ろしていた。月だけが、僕を目で追う時間か。辺りには星が一つも見えやしない。
 死んだ人は星になるっていう話をどこかで聞いたことがあるが、それが本当ならば、この世界にはもう死ねる人が僕ぐらいしか居ないって事なんだろうか。はたまた間違った死に方をして星になって輝けないんだろうか。
 ——そんな、どうでもいい事を考えながら息を吐き出す。そして思い出す。あの頃の眩しかった思い出。どちらかというと、眩しいのは君だけだった。僕の思い出なんて、楽しい事など一つもなかったのだ。 
 近づけないほど眩しくって、誰にでも等しい、あの子の笑顔。可愛い笑顔。僕は、いつ頃に勇気を振り絞って彼女に告白したのだろうか。今となってはもう見れない、あの子の懐かしい笑顔を思い出して、いつの間にやら、僕は飲み干した缶コーヒーをアスファルトに投げ捨て、ふらふらと酔っ払いのように、自転車を手で押して歩いていた。
 入り組んだ中道を適当に歩いて、前に進む。ときたまに、ゾンビが目に映るが、すぐさま壊すだけ。
 君に憧れて、君に見とれていた頃を思い出して、僕は気付けば久しい、そして何より最低な学校生活を送った、あの校舎の前に立っていた。 

「ほんっと、久しぶりだなあ」

なぜだか、感慨深い。あの時僕はあの子に憧れていただけなのに、高校生に入ってから、僕はあの子と付き合ったのだ。不思議である。
 僕は閉まった門に身を乗り出して、今居た場所逆、つまり学校内に侵入した。侵入したところで、警備員は今頃ゾンビか腐肉の残骸なので、警察沙汰の心配はない。
 なんでだか、とても懐かしい気分になる中学校時代。僕は今高校生で、そんなに昔の事じゃないのに。きっと、僕がずっと日陰の中に居たからなんだろうなあ、とか。
 陽だまりの君を、ずっと安全な場所で見つめてただけだったから、なんだろう。
 僕は鍵の壊れていた扉の場所を思い出し、すぐそこに向かって歩いていった。