二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.408 )
- 日時: 2012/06/30 15:39
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: FREELY TOMORROW4 もうめちゃくちゃだよー(号泣)
ああ、熱い夢。
#04 本当の、本当、
慧の方がもっと恥ずかしい。だろうけど。それでも、照れ臭かった私は俯いていた。そのまま、沈黙。
「……いいよ」
口走った言葉。私にはちゃんと好きな人が居るのに。心とは裏腹に言葉は呆気なく口から零れた。
「慧と付き合っても、いいよ」
顔をあげて、微笑む。目の前には、驚いたようにして口を開けた慧。そのおかしい顔を見て噴出してしまった。それを見て慧が冗談みたいに怒る。二人の笑顔を取り戻す、魔法になる。
ここから、はじまる。ノックに答えた私は、その不思議な、きらきらと輝く素敵な魔法にかかった。
前の想いは、前の恋はまだまだ残ってるけど、それなら明日から魔法にかかればいい。私の想いより強い想いで包まれたと思えばいい。私の心は私のもので、私の恋は明日も自由だ。だから私は、昨日の私から生まれ変われる。
「だいすき!」
慧と付き合い始めて一週間。時が経つのは早かった。
友達からは祝福され、もてはやされ、正直恥ずかしすぎて休みたいぐらいだった。君にも祝福されてしまって、微妙な、曖昧な気持ちになってしまった。それでも私は、幸せだ。
「慧、どうしたの」
慧が突然、立ち止まった。鞄を握り締めてる手は、少しだけ震えていた。もしかして前の熱がうつったのかな、と心配して慧に声をかけるも、反応を示さない。苛立ちが募ってきた頃。慧がこっちを振り向いた。
「はっ?」
「お前、リアクション酷いよな」
なんでもない様子で、慧が少し笑った。その声にはっと我に返った。
「……えっ、うそ、慧!」
ファーストキスを、奪われた。
うわあ。うわあうわあ。恥ずかしいけど一瞬すぎて何が起こったのか理解しがたい! 今どうして恥じているのかさえ意味不明だ!
「だました!?」
「だましてねーよ。別に」
照れ臭そうに、後ろを向いた。こいつ恥ずかしくなったらいつも顔逸らすよな。
「それより、腹減った。早く帰ろうぜ」
手を出して、笑う慧。その手を掴もうと思ったら、言われる前から空腹だった、私のお腹から大きな音が出た。それから二人は大きく笑って、仲良く帰る。
——でも一瞬だけ、雨の日に見た君と慧が重なったみたいだった。