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「シャイなリンちゃん？　だいすきでしょ！」


＃02　ふわりと浮かぶだけの願望


　リンちゃんをちやほやしたい。いつもしっかり者のリンちゃんを、甘えるのが苦手なリンちゃんを、これでもかというほどちやほやしたい。そしてちやほやされ慣れてないリンちゃんが挙動不審になるのを見て、更にちやほやしたい。戸惑いながら恥ずかしそうな顔するリンちゃん、絶対かわいい。
　リンちゃんがパソコンで調べごとをしていた。

「何調べてるのー？」

パソコンを覗き込んでサイトの内容をチェックする。

「自由研究だよう」

面倒くさいとでも言いたげなリンちゃん。私もかわいいリンちゃんに同感。
　『おもしろ科学』という大しておもしろくもなさそうな内容を見て、ためいきを吐いた。ふう、一安心。
　ピクシブで『鏡音リン　R-18』とか調べてたらどうしようかと思ったわ。そんなこと全力で阻止する。だってピクシブには私の名前もあるんだもの。言うまでもなく本名。まあ私は見るんだけど。存分に見るんだけど。

「あ、そういえば明日ボーマスだ！」

リンちゃんが唐突に叫んだ。パソコンの画面に注目すると、既に『おもしろ科学』のサイトは閉ざされていて、鏡音リンオリジナル曲を聴いていた。そんなリンちゃんも可愛いわ。

「あら、もうボマス？」

ボーカロイドマスターと称される、ボカロとボカロPのためのお祭り。結構頻繁に行われていて、その度に客の人数が多くなる。コスプレなんかしている人も多い。
　コスプレかあ……ボーマス会場ではリンちゃんにルカコスしてもらいたいな。強烈な違和感を発するぺったんこな胸に、無意識に皆の目がいってしまい、「も、もう着替えるっ！」なんて赤面して逃げ出そうとするリンちゃんを必死にフォローしたい。
　それを想像するだけでも……ああ、可愛いわ。

「ねえ、リンちゃん明日ルカコスしない？」
「絶対しない。胸おっきくないもん」

胸を手に当てると、リンちゃんは口を尖らせてぼそぼそと言った。拗ねてるリンちゃんが可愛いから、もうなんでもいいわ。