二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【リク曲】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.440 )
日時: 2012/10/07 10:38
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: yWjGmkI2)
参照: グロリアス・ワールド │ 私が全てとも思えない

 ねえ、どこまでおちたら救われる?


#03 暗闇、もう一つの「私」


 また、夢だ。どこから夢だろう? 学校で眠ってるなら、嫌だなあ。せっかく帰ろうとしてたのに、さ。
 思い出す、声、声、声。黒すぎる闇が私を包んで、何度も何度も私を世界の外におとそうとする。その度に私は耳を塞いで世界の隅っこにうずくまってんだ。
 
「声なんて、聴こえないなあ」

震える声で、冗談を吐き出した。その後に、背後から声がする。

「でもそれは、弱さを隠す言い訳なんだろう?」

振り向こうとしても、体は動かなかった。体が動いたその時には、景色はもう駅のホームで、私の背後の席以外は、全部埋まっていた。
 ——夢、じゃあなかった? 

 不審に思っていると、電車の音がホームに鳴り響いた。乗り込む人、降りる人、色んな人がそこに居て、足を動かす。何気ない風景が、とても冷たく感じる。空気が悪い。
 私もたくさんの人に押されながら電車に乗り込む。偶然、近くに空いている席があったのでそこに座った。ラッキーだ。
 電車に揺られていると、次第に眠くなる。私はそっと、目を閉じた。 

「ギター、上手だね!」
「今度遊びにいこー」
「弾き語りしてよっ、弾き語り!」

楽しい、楽しいなあ。きっとあれは夢だったんだ。随分と嫌で長い夢だった。皆普通に喋ってくれる。私は笑って、話す。会話ができるってこんなにも嬉しい。

「アイツ、嫌じゃない?」
「私もきらーい。かわいこぶってるよね」

私に目を向けられる。
 私も、悪口を言わないといけないのか。それが事実じゃなくても、正確じゃなくても。ただあの雰囲気を嫌だと言って、誰かを哂うのか?
 
「アンタもどうせ嫌いなんでしょ? いい子ぶってないでさ」
「え……」

景色は教室じゃなかった。普通に電車の中で、私は眠っていたらしい。冷や汗が肌にねっとりと絡みついている。きもちわるい。
 呆れるほどの、馬鹿げた理想だ。ひたすらに明るい未来を、希望を意味も知らずに覗き込めば、誰かが私の代わりに傷ついているのかもしれない。それでも思わず、その彼女たちの見せる、楽しそうな笑顔に吸い込まれそうになる。それはきっと光じゃなくって、闇の中かもしれないけど。

「あー、やっばいなあ。今すぐに、壊れそうだ」

傷つけるのか傷つくのか。分からずに選べずに、ぐらぐらと揺らいで傷つきまくって壊れるんじゃないかと、不安になった。