二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク曲】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.449 )
- 日時: 2012/12/10 18:46
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: K4oL/8Om)
- 参照: グロリアス・ワールド │ 悟り開きすぎだよ
私たちは一人じゃないよ。
#05 「あなたと私」
「あの子今、寝てるみたい」
縁を呼びに上に行った彼女のお母さんは、私の目の前で残念そうに笑った。
これが噂の居留守ってやつか……。アイツがこの時間帯に眠るはずがない。きっと部屋の中でいつもみたいにゲームとかしてるんだ、多分そうだ。
「何かあったの? 用なら言っておくけど」
「いや、嘘っぽいので部屋まで行きます。喧嘩しちゃったんで」
笑いながら言うと、縁のお母さんは目を見開いて、「あらまあ」と声を出した。驚いたのは一瞬だけで、次に見せた表情は、なぜか嬉しそうだった。
「喧嘩したのね。仲直りしなくちゃねえ」
そう笑顔で励まされ、私は懐かしい、今も変わらない階段を上った。
「縁ー、居る?」
「……なんで居るの? お母さんに言っといたのに」
「居留守しちゃだめだよ」
「うるさいなあ」
冗談を笑ってもくれない。どストライクに言われると、流石にきつい。けど、今の私は表面上以外のところも見れる。……自信がある。少なくとも、縁が思ってもないことを言ってるのは分かる。
「あの時のこと、まだ許してないし」
「うん、その事については、言い過ぎたと思ってる。ごめん」
「またこんなって自分からいい子ぶって、謝る気なんてない癖に、こうでもしないと面倒くさいんでしょ? 部活に顔出せないから、適当に仲直りして、普通に仲良いみたいにするんでしょ? 嫌いなのに!」
馬鹿だなあ。いい子ぶるんだったらアンタが悪いって言い張ってるよ。仲直りしたところで、私の悪い噂は消えるわけじゃないよ。嫌いだなんて思ってたら、話しかけるわけないじゃん。
いつもなら腹立つのに、私に必死に嫌われようとしてるみたいで、どうも憎めないよ。
ねえ、そろそろ。ぼろぼろになっている全ての嘘を晒してみせなよ。
「怖がらなくていいよ。私は縁を怒らないし、嫌いになるわけもないし、地球は嘘を吐いたことを咎めない。自分の為の嘘を、自分で嫌わないで」
生きるための嘘を、見せてくれるだけで、構わないよ。
多分楽にはなれるだろうから。今までの嘘は消えていくはずだから。
「そろそろ諦めて鼻水垂らして出てきたら?」
ドアが勢いよく開いて、涙を目に溜めた縁が飛びついてくる。
誰かがミスをしただけで、責められる、醜くて馬鹿みたいに子供じみた、この幼い世界じゃ、息をするのもゴメンだけどさ。あともう少し、精一杯に強がってみても楽しいかもしれない。
あと少しだけ生きてみても、悪くないか?
優しいギターの音が、響いた。
end / グロリアス・ワールド