二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.50 )
- 日時: 2011/04/17 13:52
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: W6MelwHU)
怖いけどね、けどね。
#03 生きてるんです
何も考えずに歩く事ができる……はず。いや、『できた』はず。だって、現に今僕はつまずいている。何に、と言われると何かに、としか返せないのだが多分その悩みの半分程は確実にあのピエロのせいだと、そう思う。
学校に早く行かないといけないはずなんだけどな、いつの間にか進む足はゆっくりになってるし。何で僕はこんなにも臆病なんだと笑う。これじゃあ遅刻だよ、本当に。
あーあ、ホントに僕はカッコ悪いな。そう分かって自嘲する。僕はここまでの道で何回自嘲した事だろうか。
ふと、前を見てみる。良かった、今回は前を見ても眩しくは無い様だ。そして、僕の目には青信号が映る。渡っていい筈なのに、どうしてだろう、どうしてだろうか。怖気づいてしまう。立ち止まってしまう。
青信号は次第に点滅し、赤信号に変わった。それと同時に、車が目の前を沢山通り過ぎていく。
「情けないなぁ。しょうがないから、君の背中押してあげるよ」
——ソラハアオダ、マエススメ。
誰か、聞き覚えのある声。何回も、何回も。でも、懐かしい様な声の主。そして強く、馬鹿にしている様な優しい声。
その声が終わった後、信号は再び青信号になり、誰かが私の背中を押し出した。多分、あの優しい声の人だ。
僕は、後ろを振り向かずに横断歩道を一生懸命、前を見据えて走り、改めて景色を見てみた。それはとても清々しくて、何も怖がる事はないよ、と笑っている様に見えた。
そして、さっきまで僕が立ち止まっていた場所を見つめる。そこには、もう一人の僕が笑っていた。ああ、君はずっと見ていたんだね。僕の知らないピエロになってまで。あの日のピエロになってまで。
君は、手を振って優しく笑って、そして消えてしまった。
僕は、もう泣かないと誓おう。だから、ほら君も。
僕たちは精一杯生きてるよ、これからも精一杯生きてくよ。
神サマは居るんだろうか? 居なくても大丈夫だけど。
————まあ、居たらとりあえずありがと。
end / アオハススメ