二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.56 )
日時: 2011/04/23 23:00
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: W6MelwHU)

 コイツの人生、何回目だっけ?


#01 一人の人生


 「皆可哀想だよなあ、真実も知らずに、使い回しの連続。まあ、それも自業自得ってもんだけど。」

彼女はつまらなそうな視線を人ゴミに向けながら誰に向かってか話す。

 「例えば——あの人の人生、見てみたいとは思わない?」

今やどこにでも居そうな生活の苦しそうな中年男性を指差して、彼女は妖艶に微笑んだ。
 そして、立ち上がって本棚からノートを取り出した。


 ————一人の人間の人生ゲーム。

 一回目の人生は退屈だらけの人生を過ごして来た。退屈すぎて何かを求め自殺。それは十六歳の事だった。その時の親の顔は、涙で濡れていたと言う。
 二回目の人生は、退屈な前世を追っ払いやりたい放題。利己主義者の彼は散々恨みを買ってあえなく殺害。当たり前の事である。
 三回目の人生は毒男。毒男と言うのは毒を有したり毒塗れの男なんて事はなく、独身男性の意だ。毒男は一人で色々抱え込んでいた。やがて欝になり自殺行為をした。自殺行為は成功に終わった。
 四回目はピアニストだった。ピアニストはある時目が見えなくなった。ピアノも弾く事すらままならなくなり、自分に絶望し自殺。天才的な自分のピアノに溺れていただけである。
 五回目の人生はフェミニストだった。フェミニストは世界を変えて女性も男性も平等となった世界に喜んだ。そしてそんな自分も大好きだった。フェミニストは普通に老いて普通に死んだ。
 六回目の人生は汚職に塗れ、二回目の様に人々の恨みを買った。そして二回目と同じ様に殺害されてしまった。
 七回目の人生は喪女だった。毒男と同じくただの略語で、正式にはもてない女の事だ。喪女は彼氏が居たが、その彼氏に裏切られ自殺。馬鹿がやる事である。
 八回目の人生は大富豪だった。お金を使い物を買い、人脈と信用を買い、そして夜遊びが好きだった。大富豪は味方だった筈の妻に殺害。当然である。

 繰り返しても学習できるのは生きてる間だけだなんて空しい。