二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.74 )
- 日時: 2011/05/12 22:00
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: W6MelwHU)
番外編 レッツファイティング
「うらぁぁぁぁああっ!」
「ぎゃあああああっ!」
青髪の青年、カイトを背負い投げする黄色のショートヘアの少女、鏡音リン。
彼女らは何をしているのかと言うと、月に一度の格闘技大会である。隣に住んでいるグミやリリィ、ミキやいろはなどのボーカロイド全体が集まって日頃の鬱憤を発散する、と言うのが目的である。
その大会の優勝候補者が鏡音リン、この少女なのである。彼女は頭は弟の鏡音レンに全て吸い取られたものの、身体能力はとてつもなく高いのである。そのため今までの大会はほぼリンが勝っている。
「グミちゃん今回やるんだー」
実況席と手書きで書かれたプレートが置かれたテーブルの前に座る長髪の少女、初音ミクがいつも観客席で携帯とリリィを弄っている袖を捲し上げたジャージ姿のグミを見て感心する。
グミはスポーツはそれなりにできるが大嫌いなので普段は全く動こうとはしない。そんなグミが格闘技をするなど、いつもグミを見ているがくぽやリリィ、まあここに居る人々は珍しい事だと溜息を吐くのだ。
「最近肉がたるんできちゃってさー。ほら、だるんだるん」
「さっさと行きなよグミ姉」
グミはそう言って二の腕をつまみ、引き伸ばしを繰り返す。そんなグミを見て呆れたレンが、口を出す。
「分かってるよーもー」と、不敵と言うよりは不思議な笑みを浮かべてグミは言った。
「優勝候補者リンちゃんとスポーツをしてる姿を見た事がないグミちゃん! 勝つのはどっちだぁぁぁぁ!?」
興奮気味の実況者を真似するミクは、全く興奮してる素振りを見せない。やはりボーカロイド。
「私、結構弱いんだよねー。お手柔らかに」
「うっそ、結構運動神経良さそう」
「リンちゃん程ではないよー?」
二人ともへらへらと笑みを浮かべ火花を散らす。まだ二人とも本気を出していないが、凄い迫力である。色んな意味で。
二人とも本気を出してはないと言え、グミを綺麗な型に皆驚嘆の声を出す。有り得ない、とでも言いたげに。実に失礼である。
数分程勝負が続いた所で、グミがリンに耳打ちをする。勿論バレない様に耳打ちをしているので他のメンバーは気付くはずは無い。皆から見れば、リンがいきなり尻餅を付いたのと同じだろう。
驚いたリンの表情。床にへたりこんだリンに、隙ありとグミが飛び込んで動きを縛る。
「リンちゃん、負けー」
「わほーい、私優勝候補に勝ったよー」
「多分今日三人しか居ないから多分グミちゃん優勝だよ」
なんとアバウトな優勝だろうか。だがそんな事など気にせず、周りはグミの周りに集まって感心した様な表情でグミを褒めちぎる。
記者会見もどきを受けた所で、グミはリンの所に行き左手を差し出した。
「リンちゃんの情報なんて集めるの容易いんだよ」
にっこりと、彼女は笑った。