二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.90 )
日時: 2011/05/20 22:25
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: W6MelwHU)

 最低な日々、一線越えて。


#01 劣等感


 手招きをする少女は——酷く、綺麗で最低だった。

 最悪だ。最低だ。今日も、明日も。毎日が。そして私が。
 あの子に嫉妬。あの子にも、この子にも。劣等感の塊な私は羨ましいと思う事だけ。ああなんでよ、どうしてよ。
 自分の家に向かって歩いていく。誰も分かっちゃくれないけれど、地面に八つ当たりをする。踏み踏み。こっちの足が痛くなるわ。
 一人で可哀想な事を思っている女子高生にしか思えないがそんな事同だっていい。
 日常から抜け出したい。非日常を越えてみたい。
 だがまあ恐怖はあるわけだ。踏み出せない。勇気が無い。こんな私にもイライラする。所詮冗談交じりの境界線。非日常に足を踏み入れる勇気すら、私にはない。明日新聞の一面に載る勇気が、私にはない。
 私は日常から抜け出したい反面、非日常に行きたくない。そう思いながら、階段を一段ずつ上る。三階辺りに来た頃、階段の隅で少女はうずくまっていた。
 長く、綺麗な浅葱色のツインテールは既に地面についていて勿体無い。だけど、少女は気にしてない様子だった。
 私に気付いた少女が顔をあげて私に笑いかけた。

 「姉ちゃん、非日常を過ごしたいんだね」

気付かれた。顔に出やすいのだろうかと思ったが私は常に無表情だった。友達にもよく言われるので顔に出るはずがない。
 
 「境界線をはみ出したら、もう戻れないぜ。今であれば、まだ境界線『上』だから、逃げる事ができる。姉ちゃんは、どうする?」

可愛らしい笑顔で、蓮っ葉に話す少女。
 私は、もう少し警戒すれば良かったのだろうか。

 「ここ、家だからね」

出来る限りの優しい笑顔で、そう笑んだ。すると、少女の方も「そっか」と、無関心に相槌を打ってくれた。
 
 全然、いい事もないんだし。差し出された手を引いてみても、いいよね。