二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.96 )
- 日時: 2011/05/22 18:03
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: W6MelwHU)
最低なダンス、最低な私。
#03 非日常
勢いだけで、走ってきた。廃墟の建物。ビルなのか何なのか分からないそこは、ただただ寂れていた。
嫌な日常がつまらなくてここまで来た。ただただ走った。そのため息切れしてしまったので息を整えていると、影が増える。何だろうと私が顔をあげると、やはり、あの時の少女だった。
「お嬢さん、二回目どうです?」
紳士が淑女を口説く様な物言いで、手を差し伸べる少女。私は、何の疑いも無くその手を引いた。
「今日は特別にホップ・ステップで踊ろうか」
普段の日常に飽きたならば、いつもとは違う非日常を踊ろう、そう言っている様な気がした。
「世界の隅っこで、廃墟の隅っこで」、と少女は付け加えた。
ちょっと気持ち悪い。だけど、そんなクラッとしそうな終末感、と言ったら大袈裟だが、もう少しでダンスが終わる様なそんな気持ち悪さも楽しめる。
パッと、フラッと、気がつけば儚く消えちゃいそうな次の瞬間を目に残そうか。回る回る。くるくるり。——ああ、そろそろ酔ってきた。
私は、彼女の腕の中に倒れた。
起きるとそこは傍観者だけの空間。私は何をしているの。私と言うレースが最終電車に乗り込んで、それから。あの少女の声がした。周りから辺りから、全部、少女の声。傍観者は少女の様な仮面を付けた少女。
少女もどきが手を差し出す。いつもの様に。ここに居ても全然いい事はないし、この手を引いてみようか?
何も手を引く事は初めてじゃない。少女に会った時も非日常に逃げた時も、手を引いて、今はここに居る。
そして、また場所移動。白い、部屋? いや、扉がない。
日常じゃない。確かにこれは非日常だ。だって、何だかいつもと違うから。少女のいたずらを、運命のいたずらを信じて、歩く。どこに行くのか分からないけど、ひたすらに歩く。……精神が狂いそうだ。
足を進めていると、人影があった。
散々躓いたダンスを踊っている、誰か。ひっどいダンス。そんなダンスを見て、私はそれを馬鹿にする。
——私に、矢を放つ。