二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】〜俺のサッカー〜『第七章・明かされる記憶』 ( No.274 )
日時: 2011/09/04 19:58
名前: まい (ID: jkpAQDpo)

〜第2話〜「人間」

晴矢と風介は急いで迷子から脱出するため、森の中を歩き、離れないように二人は手をつないでいた。氷空は好奇心旺盛なせいか、器用にリフティングをしながら、金魚のフンみたいに二人の後ろを歩いていた。

晴「なんで、あんたもついてくるんだ?」
氷「いっしょにいけば、おとうさんやおかあさんにあえるかもしれないじゃん」
風「あえるか、わからないぞ」
氷「そうなの?」

氷空は一度止まって、キョトンとした顔で二人に問う。すると、足を止めて、氷空に振り返って晴矢が何か気がついたかのように問い返した。

晴「そういえば、なんでこんなところに?」
氷「おとうさんにつれてかされて、たいくつだったから。もりにでた」
晴「で、まいごになったのか」
風「キミ、どんくさいな」
氷「キミこそ、あしをくじいているくせにあるくのは、どんくさいんじゃないの」
風「!? な、なんでわかった?」
氷「かくそうとしてもダメだよ。さっきから。あし、ひきずっているよ」

確かに、さっきから風介は片足を引きずりながら歩いていた。この頃から氷空は洞察力だけはあったらしい。ただ、気が付いたのなら早く言った方がよかったんじゃないか?と内心思った。すると、氷空はボールを晴矢に渡して、風介の前に行き、背中を向けてしゃがんだ。おんぶをするつもりらしい。

風「ひとりであるける!」
氷「ぼくはね、こまっているひとをたすけたいだけだよ」
晴「あんた、かわっているな」

風介はしぶしぶ氷空に体を預ける。氷空は風介をおんぶした状態で、風介は片手を晴矢と手をつなぐ、晴矢は片手にボールをしっかりと持って再び歩き出した。その光景は本当にさっき出会ったばかりとはとても思えなかった。







しばらく歩いていくと、三人の視線の先に白くて、マンションのような縦長の立派な建物が建っていた。こんな森に建物が建っているということは誰かが住んでいるのだろう。風介と晴矢の目が輝いた。どうやら、あの建物に二人は元いた場所らしい。風介は氷空におろされて、晴矢の近くに行く。

風「あそこだ!」
晴「あぁ!あのたてものに、おれたちのとうさんがいるぞ!」
氷「ごめん、ぼく、げんかい・・・・」

氷空は汗をすごく掻いていて、かなり息を切らして、足を震わせていた。一人でずっとおんぶしていたせいか疲れが出てしまったのだろう。まだ建物まで距離があるのに、氷空がダウンしてしまったら、晴矢だけで二人を連れて行くのは出来ない。一人を連れていけても一人をここに置いていくわけにも、いかない。

晴「おい、だいじょうぶか!?」
氷「ちょっとだけ、ねれば、かいふくするかも・・・・」
風「こんなところで、ねちゃダメだ!!」

風介の言った通りだ。辺りは真夜中のせいか、冷え切っている。寝てしまったら、凍えてしまうだろう。まさに、絶体絶命の状態。その時、二人はお互いの顔を見て、同時に大きく息を吸い込み、叫んだ。

晴「お ———— い!!」
風「だれか —————!!」
氷「なにやっているの!?きこえるわけないよ!」
風「でも、なんとか。きづいてもらわないと!」
晴「やれることをやるまでだ!!!」

二人は真っ直ぐな目で氷空を見る。それは、二人の気持ちが一瞬で理解できた。すごい熱意に感じられたのだ。氷空は同情したのか、あたりを見渡すそこに目に留まった(とまった)のは晴矢に預けていたボールだった。ふらつかせている足を動かして、二人の近くに行く。

晴「なんだよ。あんたはやすんどけよ」
氷「いやだ。ぼくも、やれることをやりたい。」

氷空はにっこりと笑って、晴矢からボールをもらう。軽く何回かリフティングをして、建物に狙いを定める。

氷「そのかわり、きまらなかったら。おしまいだけどね」
風「なにをするつもりだ?」

ボールを高く蹴り上げ、氷空も高くジャンプする。そして、そのまま足を空に向ける。

氷「あがれ!<シャインウ゛ィオ>!!」

氷空の蹴った紫色の光のボールは、ほぼ真上に上がっていく。まるで、花火のようにあがっていく、しばらくすると、建物に明かりが灯る。どうやら気が付いたようだ。しかし、氷空は着地をする時にバランスを崩して、背中を思い切り地面にたたきつけるが、もはや、仰向けになったまま動けない様子。もう、起き上がる気力すらないのだろう。

氷「もう、立てない・・・・・」
晴「ずげー、あんたすげーよ!」
風「これで、さがしにきてもらえるな」

三人は安心したのか、そのままへたり、と地面に座って笑いあった。しばらくして、三人は大人たちに発見され、保護された。建物の中に入り、出迎えてくれたのはまだ4歳くらいの幼いヒロトだった。ヒロトは晴矢と風介が入った瞬間に涙目で二人に飛びつく。氷空は状況が分からず、ボーと見る。

晴「ひ、ヒロト」
風「くるしいぞ」
ヒ「だって!ふたりがまいごになるから、しんぱいしたんだよ!!」
氷「あのー はなしてあげたほうが・・・・・・」
ヒ「キミは?」

二人が帰ってきたことで頭がいっぱいだったのか、氷空の存在には全く気が付かなかったらしい。その時、ヒロトの後ろから、大仏に似た容姿をしている優しそうなおじさんが現れて、氷空の頭を撫でながら三人に紹介する。

?「三人に紹介しよう、氷空君だ。彼はときどき、お日さま園に遊びに来ることになった」
氷「おじさん、だれ?」
晴「コラ!とうさんにおじさんはないだろ!!」
氷「だいぶつなのに、とうさん?」
風「だいぶつはもっとない!」

いや、どう見てもこの人は大仏だ・・・・にしても、あの人が晴矢の父さん?まったく似てない。それにしても、お日さま園ってなんだよ・・・・どこかで聞いたことがあるような。暁は必死にお日さま園のことを思い出そうとする。しばらく考えた。サッカーに関することではない。もっと昔に聞いたことがあった言葉だった。

暁「お日さま園って確か、10年前に建てられた。孤児院のこと?」

自分は雷門に行く前に孤児を預かっていた学校にいるときに、孤児をどうやって育てればいいのか。分からなくて、ネットでお日さま園と言う10年前に出来たばかりのところの取り組みをよく参考にしていたから、知っていた。

暁「まさか、エイリア学園の連中は・・・・・全員、人間なのか?」

そう仮定すれば、つじつまが合う、ティムが俺を何で知っていたのか。ガゼルやグランが初めて会ったときに驚いていたのか。それは、過去の自分、つまり氷空に会っていたからだったのか?謎は深まるばかりだな。