二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【イナイレ】〜俺のサッカー〜『第七章・明かされる記憶』 ( No.285 )
- 日時: 2011/09/11 20:15
- 名前: まい (ID: Gz/gGLCR)
〜第4話〜「海夢の事情」
それからと言うもの、氷空達はお日さま園に戻って、一週間に一度くらいの割合で遊びに来ることになった。
そのたびに氷空は知らない子を誘ってサッカーを一緒にやる。氷空の友達がどんどん増えていく、その繰り返しだったが、以前に比べてお日さま園の子供たちは明るくなっていく。
それに、氷空はヒロトと風介、晴矢と親友関係になった。
氷「きょうは、だれといっしょにやろうかな?」
晴「おれたちだけじゃ、だめなのか?」
氷「みんなでやったほうがたのしいでしょ!」
風「そらは、いつもサッカーばかりかんがえているな」
ヒ「そうだね」
氷空は一緒にサッカーをしてくれる相手をただ探して、晴矢がリフティングをしながら後ろについて来て、風介が呆れて、ヒロトがそれに同意。そんな風景がいつしか当たり前になっていた。
すると、目の前に女の子達の群れがあり、その中には海夢がいた。氷空と話しているうちに海夢は前髪をヘアピンでとめて、雰囲気が明るくなったおかげか、女友達ができるようになってきた。相変わらず、同い年や年下でも敬語を使っているが・・・・。
氷空は女の子達をかき分けて、海夢のところへ急いだ。
氷「かいむ!いっしょにサッカーしない?」
海「ご、ごめんなさい。わたしはサッカーしたことないので、できません」
氷「できるさ!おんなのこでも、たのしめるよ」
海「失礼します!!」
なぜか、海夢は慌てた様子でその場を去ってしまった。
氷「またダメだった・・・・」
晴「これで、なんかいめ?」
風「おそらく、8かいめだ」
ヒ「かぞえていたんだ」
そうだ、これで海夢に断られた回数は8回。計算すると、約2か月間、断られ続けているのだ。いい加減に氷空もあきらめた方がいい回数である。
氷「う〜ん、かいむにも。なにかあるのかな?」
氷空は気付いていた。お日さま園の子供たちは親に捨てられていたこと
それが原因で心にショックを受けて立ち直れていない子を何度も見た。海夢もお日さま園にいるということは何か親に捨てられたのが原因だと感じた。
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秀「氷空、そろそろ帰るぞ!」
氷「うん!じゃあね、ふうすけ、はるや、ヒロト!」
父さんが愛車である水色のパレッド車で迎えにくる。窓を開けて手招きで呼ぶ。結局、海夢は一緒にサッカーをしなかった。氷空は三人と別れ、秀次が乗っている車の助手席に乗って、シートベルトをする。
秀次はアクセルを踏んで、車を発進させた。
秀「今日は海夢ちゃんを誘えたか?」
氷「だめだったよ。」
秀「そうか・・・・」
氷「おとうさんは、かいむはおやにすてられたせいで、やらないとおもう?」
車を走らせながらも会話は続いた。目の前の赤信号で止まった瞬間に父さんが口を開く
秀「あの子はただ、捨てられたのが原因じゃない。虐待されていたんだ」
氷「ぎゃくたい?」
秀「簡単に言えば、殴る、蹴る、叩く、外傷がなくとも継続的に痛みを与える、食事を与えないことを親が子供にすることだ。」
氷「けいごなのも、それがげんいん?」
父さんの話によれば、海夢はある大財閥(だいざいばつ)の長女、男の子は生まれず、彼女が跡継ぎになる可能性が高い、そのため、しつけが厳しかった。
母親が彼女を育てたらしいが、当時3歳だった海夢に無理やり勉強をさせはじめ、一問でも問題を間違ってしまったら、叩かれたらしい。
習い事をした期間もあった。本人の話によれば、ピアノ、バレエ、英会話などを3時間ずつやり、敬語を使わなければ、倍の時間をやらされて、寝る間も与えられない日々が続いた。
そして、4歳になった時、弟が生まれた。両親と海夢は男の子が生まれたことに喜んだ。海夢が弟を抱こうとしたら、両親は弟を海夢から遠ざけて、大声で叱りつけながらこう言った。
————— 貴女みたいな出来ない子が跡継ぎに触らないで!こんなのと血がつながっているなんて・・・・・ —————
———————— お前なんて、この家から出ていけ!目障り(めざわり)だ!!————————
海夢は家を追い出された。つまり、実の両親から捨てられたんだ。そして、お日さま園にたどり着いた。精神ショックがあったためか、自分の本当の名前を思い出せなくなってしまった。
氷「めざわり?じぶんのこどもなのに」
秀「親の教育が厳しすぎたんだ。結果、虐待と言う形になってしまった」
氷「かいむは・・・・・できないと、なぐられるとおもっているの?」
秀「そうなる。だから、氷空がサッカーに誘っても、しないんだ」
海夢にとって、虐待はトラウマになってしまったのだろう。氷空は顔を下げて、黙り込む、父さんは無言で車を運転した。しばらく沈黙が続き、氷空は安心したかのように肩を落とした。
氷「よかった。かいむはサッカーがきらいじゃない!」
秀「はぁ?」
氷「だっていつも、かんがえていたもん!サッカーがきらいなのかな?って、だったらぼくはわるいことをしているでしょ!」
秀「何を言ってるんだ?」
氷「なんだ。できないから、たたかれるっておもっているだけだったんだ。」
ある意味、氷空は自覚していないようだが、とても恐ろしいことを言っている。
秀「おーい、氷空?」
氷「だったら、ぜったいにかいむといっしょにサッカーしなきゃ!あ、でも!おさむやリュウジもさそわなきゃ!あと、れいなも」
秀「・・・・・氷空君?」
天然なせいかサッカーですべて解決できると考えているのだろうか、氷空は今後の予定などを大きな独り言で計画する。実の父親である秀次にも追いつけないような速さで。
秀「結局、サッカーで解決するつもりか?」
氷「サッカーさえすれば、あいてのきもちくらいわかる!」
秀「プロになるつもりで天然発言をしているのか?お前の口はなんのためにある?」
氷「ぼくのきもちをみんなにつたえるため!!」
秀「うるさくて、生意気な息子だな」
父さんは氷空の頭を鷲掴みにして、頭を揺さぶる。これが、父さんなりの褒め方らしい。その時の氷空は幸せそうだった。
暁「氷空はどうやって、ティム・・・・いや、海夢の心を動かすんだろうな。」