二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】〜俺のサッカー〜『第七章・明かされる記憶』 ( No.320 )
日時: 2012/01/06 19:15
名前: まい (ID: EHM01iHp)

〜第18話〜「それぞれの答え」

雷門グランドで瞳子監督は雷門イレブン全員にあることを疑われた。それはつい先ほど、マネージャー達がグランドに来た際、グランと瞳子監督が直接話しているところを目撃したのだ。そして・・・・・グランが監督と別れた時に「姉さん」と呼んだことも。
 つまり、瞳子監督はグランと親しい仲と言うこと。それとも、実の姉かもしれない。どちらにしても、エイリア学園と面識がありそうだ。監督は雷門を監視していたスパイの宇宙人と言う結論にたどり着く。しかし、これは雷門イレブンから導き出した答えであり、瞳子自身に聞いたわけではないため、確かなことでない。全員がグランドに集まり、問い詰めた。

円「本当に、あいつの姉さんですか?」

瞳「・・・・・確かに、私は貴方達に隠していることがある。でも、もう少し待ってほしいの・・・・・・・エイリア学園はただの宇宙人じゃないわ。みんなには、私と一緒に富士山麓(ふじさんろく)に行ってほしいの。そこで、すべて話すわ。出発は明日の朝8時。それまでに準備を整えておいて」

それだけ伝えると、瞳子はその場を立ち去った。全員が瞳子をますます疑う。今日のカオス戦だって、アフロディがボロボロになっても使い続けた。それどころか、選手に秘密があるのだ。次の対戦はきっとジェネシスと最終決戦と予想が出来る。なのに、隠し続けるのは何か理由があるとしか思い浮かばない。
 特に疑っているのは一之瀬と土門だった。二人はエイリア学園との戦いは疑問をたくさん思った。だが、それでも監督についてきたのはエイリア学園に学校を壊された皆の想いに応えたかったから。しかし、もう監督に振り回されるのは限界だった。一之瀬と土門は富士山に行かないと主張をし始めた。

土「お前はどうなんだ?・・・・暁」

近くにいた暁に土門は問う。一斉に視線が集まった。一つ深いため息を出した後、眉間にしわを寄せて、皆に自分の考えを出来るだけ分かりやすく伝えた。まるで、訴えかけるように。

暁「行けばエイリア学園の正体や監督の秘密がすべて分かる。ただそれだけだ。監督と一緒に行くかは、個人で決めろ。別に『行け』と強制していない。今夜一晩も時間があるんだ、ゆっくり【答え】を考えてみるのもいい・・・・・俺も考えるから」

暁の言葉で全員解散した。それぞれの【答え】を導くため。自分にとっても、皆のためにもあとで、後悔しない選択をするために解散した。







夕焼けが眩しく、オレンジの光が辺りを照らしている時間。
暁と颯音は公園にいた。そこには、二人のほかに3人の子供がサッカーボールを追いかけている。ドリブルも安定しないで真っ直ぐ進められていない。おそらくサッカーを初めて間もないだろう。暁はその様子をブランコに座って、ぼんやりと見ている。軽く足を揺り動かすと、古く錆びた(さびた)音がした。一方の颯音は、対照的にブランコに立ち乗りして、とても楽しそうに遊んでいた。その姿はまるで、園児のようだ。

振り子の原理で高い位置についたら、そのまま勢いを出してジャンプ。バク転を2回して静かに着地した。元々、身体能力がある颯音だから出来る技だ。体操選手にもなれるんじゃないのか?と暁は密かに思った。
 なんとも落ち着かない様子の颯音。暁は視線を子供たちに向けながら話しかけてみる。

暁「富士山に行くのか?」
颯「正直、行くのか迷っているんだ・・・・監督はスパイかもしれないし、富士山に行ってジェネシスと戦ってすべてが終わるか分からないし。先輩達も、来るのか・・・・・・もう、なにがなんだか」

すっかり頭を抱え込んでしまう。なぜか「俺、すごく不安なんですよ」と訴えるマイナスオーラが見えた。確かに、今日はいろんなことが起き過ぎた。プロミネンスとダイヤモンドダストが組んだカオス。その試合の途中で現れたグラン。記憶が曖昧になってしまった兄。そして、監督のスパイ疑惑。戸惑うのも無理はない。
 立ち上がってブランコについていた泥を軽く手で叩く。颯音の正面に立って腕を組んだ。そして、そっぽを向きながら目を細める。

暁「確かに・・・・・・お前みたいな馬鹿で、カナヅチで、泣き虫な奴が考えることなんて出来ないよな〜」
颯「ん?」

慰めるかと思えば、悪口の嵐が浴びせられた。不意にきたので石化したかのように思考がストップしてしまう。『馬鹿』『カナヅチ』『泣き虫』の部分を強調するので、ますます状況がつかめない。反応して来ないので暁は話を続ける。

暁「そういえば、昔はお化けが怖くて俺の布団で一緒に寝たこともあるよな。それに、自分で木に登ったのはいいが、降りれなくなったことも。あとは、間違えて女の・・・・・」
颯「//////////わあぁぁぁあ —————— !!!!!///////////」

更には早口で昔の話もするので、我に返った。次第に恥ずかしくなり泣きたくなってきた。慌てて手で暁の口を覆わせる。
 しかし怯まないのが暁、冷静に覆っている手を簡単にどける。ニヤリと悪魔の笑みを浮かべ始めた。

暁「少しは気持ちが切り替わっただろ」
颯「おかげさまで・・・・・不安よりも恥ずかしさでいっぱいだけど」
暁「おーい、赤面だぞ。大丈夫か?」
颯「兄貴のせいで真っ赤なんだよ!!」

もはや、ヤケクソで叫ぶ颯音。肩を細かく震わせながら暁は笑いを堪えていた。お互い深呼吸を何回かして、気持ちを切り替える。軽く髪を撫でながら口角を上げた。

暁「何も迷うことはない、自分の意志で、未来の道を選べばいい。選択ひとつで、未来は簡単に変えられるから。俺が口出しして解決できる問題じゃないだろ。意志を絶対に枉げ(まげ)ないのがお前の取り柄だろうが」

言われた瞬間に、さっきよりも気持ちがラクになる。まるで、心のトゲがなくなったかのように心が軽くなった。颯音はいつも見せる無邪気な笑顔になる。どうやら、決断ができたらしい。答えは聞くまでもないようだ。暁は「世話が焼ける奴」と呟いたとか。







翌朝、監督との約束通りに朝8時、雷門グランドに来た。暁と颯音が来た頃には一之瀬、土門、リカ以外集まっていた。やはり、二人は昨日のことで行かないと決めてしまったのだろうか・・・・・すると、キャラバンの陰からリカが一之瀬の腕を引っ張って現れた。それに続いて土門も現れる。

土「まぁ・・・・なんつーか、考えたんだ。眼を逸らしちゃいけないってな!」
円「一之瀬、土門!」

これで、全員集まった。誰一人、行かないと選択した者はいない。『エイリア学園との戦いの意味を知りたい』気持ちは皆、同じのようだ。監督も到着し、全員キャラバンに乗り込んで富士山へ向かう。





2時間くらい経つと、富士山が見えた。日本一高い山を目の前に来て全員、窓の方へ視線を向ける。山の斜面を登って麓(ふもと)へ行くと、白に近い銀色で円盤の形をしたデカい建物があった。時々赤や、青い光が点滅していていかにも怪しい雰囲気が漂う。まるで、UFOのようだ。

暁「あれが・・・・・エイリア学園か」