二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【イナイレ】〜俺のサッカー〜『第七章・明かされる記憶』 ( No.339 )
- 日時: 2012/07/15 19:33
- 名前: まい (ID: .057oP6P)
〜第26話〜「力の源」 ※勝手に解釈した部分アリ※
作戦が決まり、円陣をして気合を入れなおした所でハーフタイムが終了を告げるホイッスルが鳴った。全員がグランドに行く中、一人だけその場で立ちつくしてしまった。それに気が付いた颯音が立向居の方へ戻って、その背中をドンッと力強く叩いた。
颯「立向居! 試合が始まるぞ!」
立「わ、分かっているよ・・・・・・でも・・・・・手が震えちゃって・・・・・」
颯「・・・・本当だ」
差し出されたマメだらけの手は細かく震えていた。それはさっきの合体技などの衝撃を受けたばかりで震えているせいのか、気持ちが高ぶっているせいなのかは分からない。
ただ、立向居のポジションは超と言っていいほど重要なのだ。雷門にはすぐ守備に回れる器用な選手は少ないことも知っているからこそ不安になる。だが、この作戦くらいしかジェネシスを倒す手段はないと言うことも、雷門らしいプレーで吉良 星二郎を正気に戻すことに意味があるということも颯音自身、痛感していた。
こんな時、どんなことを言えばいいのかも正直、分からない。でも今、自分にやれることだけはやるべきだ。そう結論づければ後は口に出すだけだった。
颯「それでも、守備はお前に任せる。『究極奥義に完成なし!』進化し続ければ強敵なんて、へっちゃらなんだ! そう考えるのが一番さ!」
立「でも・・・・・」
颯「自信持て! お前は雷門のキーパーだろ? 今のGKはお前だけだ! だから、フォローは余程の時しか行かないからな。ほら、もう行くぞ!」
立「え!? ちょ、ちょっと!!」
こんな言葉を贈った理由は「自分は不器用なんだから、やれることと言えば、チームメイトの一人ひとりを信じる事だけだ」と自覚していたからだ。しかし、そんなこと勘付かれたくないのでその腕を無理やり引っ張り、少々困り顔をしているのはスルーして颯音は笑ってごまかした。
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全員がポジションに着いて、雷門からキックオフ。円堂がドリブルで上がっていく、すると目の前にグランが立ちはだかった。だが、今の円堂は先ほどと違って落ち着いていた。ギリギリまで引き付けて後ろを見ずに鬼道へバックパスをして回避する。完全にグランの裏をかいてプレーをしているのだ。
グ「前半とは違うという訳か・・・・」
暁「みんな! 作戦通りに動いてくれ!」
暁が声を上げるとそれを合図に全員が攻撃参加するため、最終ラインを上げた。
その後は雷門の連係パスに触れる事が出来なくなってきている。こんな風に息の合ったチームプレイはきっと初めてであり、ジェネシス側にとって対処しきれていない。つまり、前半と全く違う展開になっているのだ。
過ぎていく時間の中で円堂は感じた。
俺には仲間がいる。ここまで一緒に戦って来てくれた仲間がいる。新しく加わってきてくれた仲間がいる。いつも見守ってきてくれた仲間が・・・・そうだ、俺達の強さはそんな仲間達と共にあるんだ!
鬼「円堂! 東條にパスだ!!」
指示を聞いた円堂がクロスをして颯音の元へボールが渡ろうとする。しかし、若干高く行ったせいでDFのゾーハンと空中戦になる。体系的に不利だが、ここは仲間のためにも行くしかない。
颯「このボールだけは絶対に決めてやる!!」
助走をつけて同時に飛んだ。しかし、チラリと下を見れば着地点の近くにはDFが待ち構えていた。これでは着地した時に奪われるかもしれない。そう瞬時に思い、颯音は相手より近くに行き、そのまま足を前に出してダイレクトで必殺技を発動させた。
颯「<プラズマアロー V2>!!!」
ネ「<時空の壁>!」
しっかりと足に当たったボールは勢いが増して、空から一筋の雷撃のごとくゴールへ向かう。ゴール前に立ちはだかるGKのネロは対応するために必殺技を繰り出す。異空間の中に入ったボールはそのままネロの手に収まるかと思ったが・・・・・颯音の技の威力が上で、エネルギーが一気に爆発し、ネロごと吹っ飛ばした。
電光掲示板に2−2と表示される。それを見た颯音は飛び上がるくらい嬉しくなる。こらえきれず、兄の元へダッシュで行った。その姿は大型犬が飼い主に飛びつくようだったという。
颯「やった!! やったぜ、兄貴! 褒めてくれ!」
暁「はいはい、それぐらい出来ると信じていたから、別にどうもしないなー さっさと戻れ、暑苦しい」
颯「・・・・・・・・・はーい」
見事に思いは玉砕して、しょんぼりとした颯音は重い足取りでポジションに戻ったらしい。
弟とは対照的に兄はさっきの動きを頭の中で見直していた。
暁「これで、ジェネシス側は余裕ではなくなり、リズムが崩れ始める・・・・・だが、まだたたみ掛けるのは速いな・・・・・・どうあいつらが動くのかで、次の得点を必ず決めないとな」
エイリア学園からのキックオフでさっきまでと違う攻撃を仕掛けてきた。暁の予想通り、これまでは余裕があったり、隙をみせれば攻めてくるはずだったのに、今はキックオフからグランが一人、DF陣の裏をついてドリブルで駆け上がっていく、それだけではない。ティムとウルビダも上がっているのだ。
また<スーパーノウ゛ァ>が来る。自分に止められるほどの力があるわけない。どうすれば・・・・・・そう考えている間にも敵はどんどん自分の方へ向かってくる。その足音の一歩、一歩が恐怖に感じ取れた。体も震えてしまう。このままでは、確実に点を与えてしまう。どうすれば —————
円「諦めるな! 雷門のキーパーはお前だ! 立向居! 雷門のゴールを守るのはお前だ!!」
思考をめぐらしていた時、円堂が声を上げた。途端に震えていた体も止まり、恐怖も打ち消された。円堂の一言が立向居の背中を押したからだ。
そうだ、今の雷門のゴールキーパーは俺なんだ。俺が弱気になってどうする? このゴールは俺が守るんだ! たとえ、かなわない敵がいても、進化し続ければ越えられない敵はいない!!
「<スーパーノウ゛ァ>!!」
立「<ムゲン・ザ・ハンド>!!!」
近づいてくる隕石のような光のエネルギー・・・・・・それでも、これを止めて、皆にチャンスを作るんだ。その強い想いで必殺技を発動させる。さっきまで6本だった腕が今度は8本になる。8本の腕がグラン達の技を抑え込み、光のエネルギーが消えて、立向居の腕に収まった。
ジェネシスの合体技を止めたことにより、ジェネシス側はパニックになってしまった。これにはさすがの星二郎も驚きのあまり、椅子から立ち上がり、ある恐怖を覚えた。
このままでは・・・・最強であるジェネシスが負ける。 そんなこと、あってはいけない! 彼らにエイリア石以上の力があるとしても、勝たなければならないのだ。たとえ、子供たちに多少の負担を背負わせてでも・・・・・。星二郎は手を伸ばし、グランドにまた映像を写し出した。
星 「グラン! リッミター解除を・・・・」
グ 「リミッター!? 父さん! そんなことをすると、皆の体が!」
ティ「そうですよ! もう少しだけ私たちにやらせてください!!」
星 「やらせてください? 最強であるジェネシスが雷門相手に苦戦をしてどの口を叩いているんだ? ジェネシスは最強でなければいけない。それはお前達二人も分かっていることだろう。私の指示に従えないとは・・・・がっかりです。ウルビダ、お前がジェネシスのキャプテンになりなさい」
抗議する二人の意見を無視して、星二郎は淡々と指示を述べて、映像を消した。二人は目開いてその場で立ちつくしてしまう。キャプテンとなったウルビダが片腕を挙げてユニフォームにあったスイッチを全員一斉に押した。そのスイッチが作動すると、何かが突き動かされたみたいに全員の雰囲気が変わった。
試合再開し、ボールが円堂にわたってドリブルで攻めていた。しかし、ジェネシス側はこれといった攻めに入っていない。まず、ボールを奪いに来ていないようだ。何かの作戦か? と思い、ウルビダを抜かした次の瞬間 —————— いつの間にかウルビダが追いついていたのだ。
円「なんだ!? 今の!?」
暁「動きが見えなかった・・・・・まさか、人間の能力を超えているのか?」
そう暁が推測したのは、円堂が抜いてウルビダからの距離は短かったが、すぐに反応してもボールを奪うまでは早くても3秒くらいは掛かる。だが、今のは・・・・・目にもとまらぬ速さだった。それだけではなかった。注意して奪うタイミングを見計らっていたら、突風が横を通り過ぎる。なんだとばかり振り向けば、ウルビダが高速のドリブルで駆け上がっていたのだ。あっという間にゴール前まで攻め入られてしまう。それは驚いたことに、ウルビダだけではなく、グランとティムがゴールへ向かっていたのだ。
ティムとグランが作り出した宇宙空間まで飛びあがり、ウルビダが地上で4体のペンギンを二人がいる空間まで飛ばし、二人がペンギンと共にボールをシュートする合体必殺技を発動させる。それは<スーパーノウ゛ァ>よりも恐ろしい破壊力のシュートだった。