二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【イナイレ】〜俺のサッカー〜『第七章・明かされる記憶』 ( No.346 )
- 日時: 2012/09/23 19:48
- 名前: まい ◆nkg.2sWI0U (ID: SDyLiy9K)
〜第30話〜「終わりへ」 ※色々と模造あり。悪ふざけした部分アリ※
鬼瓦「話してもらえませんか? 吉良 星二郎さん。なぜ、ジェネシス計画を企てたのか。何処で道を誤ったのかを・・・・巻き込んでしまったあの子達のためにも」
鬼瓦刑事はグランドに膝をついている星二郎に話しかけた。エイリア石が発見されて、人間の潜在能力を極限にまで高まることを知っていても、日本を征服して・・・・世界戦争を企んでいた星二郎にメリットなどあったのか? 確かに、世界の頂点へ立つことがメリットなのかもしれない。だが、星二郎が世界を征服しようとした訳が分からなかった。星二郎は一瞬だけ奥の方に泣き崩れているジェネシスの子供達を見て、口を開いた。
星「グランの言う通り、私には“ヒロト”という息子がいた」
その名は吉良 ヒロト。本当の星二郎の息子がいた。瞳子監督のお兄さんだそうだ。彼はとてもサッカーが大好きで、夢はプロ選手になることだった。小学生の頃はエースで活躍し、少年リーグでも優勝したこともある実力者だった。中学生の時に外国でサッカー留学を勧められて、彼は留学した。
ところが、その数年後に彼は路地裏の狭い道で車に轢き逃げされる謎の死を遂げた。
あり得なかった。どうして狭い路地裏の道に車が通るのか。星二郎はその死に疑問を抱き、何度も真実の解明を求めて警察に駆け合った。しかし、調べていくうちに事件には政府要人の一人息子が関わっているのが発覚し、調査は断念するしかなく、事故死として処理されてしまった。あの時の悔しさは、今でもハッキリと覚えている。息子に何もやれなかった悔しさ。そして、あの喪失感。息子を失い、心に大きく穴が開いた星二郎は生きる気力さえも失っていた。
そんな時、瞳子が星二郎に親を亡くした子供達を引き取る施設・・・・・お日さま園を勧めてくれたのは。初めは、娘の頼みと思って受け寄ったが、星二郎は子供たちの笑顔に心の傷も癒えていった。お日さま園の子供たちが星二郎の生きがいにもなったのだ。そして・・・・ 年前に隕石の落下。それがエイリア石だった。エイリア石の分析をし始めた星二郎はその恐ろしいエナジーに気が付いてしまったのだ。そして、エイリア石の魅力に取りつかれていった・・・・その力に。同時に、今まで心の奥底で押し殺していた復讐心が再び込み上げてきたのだ。
星「すまない・・・・本当に皆、すまなかった! 私が愚かだった!」
星二郎は思い切り地面に拳を叩きつけた。なんとも哀れな話だろう。結局、星二郎は過去で思い残したことがあり、エイリア石によって心が揺さぶられたのだ。それは悪魔にささやかされて生まれた悲劇と言ってもいいのかもしれない。ならば、やるべきことは一つ。あのエイリア石と言う存在を消してしまえばすべて解決されるのだ。そう思い立って正治は遠隔操作で仕掛けていた爆弾を発動させようとした。
その時・・・・耳を抑えたくなるような爆音が響いた。音の衝撃と爆発の衝撃で会場が大きく揺れる。
鬼 「じ、地震か!?」
親父「違う! 誰かが意図的に緊急用の自爆装置でも発動した! くそっ! 俺達を閉じ込めるつもりだな!!」
その正治の読みは当たっていた。アジト全体が壊れていくのだ、天井が崩れ始めてボロボロと破片が落ちてくる。これではエイリア石があった場所も無事じゃすまない。もちろん、この会場も・・・・このままでは全員が閉じ込められて、手遅れになる。最悪の展開が脳裏をかすめた時、会場の奥からエンジン音が近づいてきた。次の瞬間、キャラバンが大きく飛んで着地する。運転手の窓から見えたのは古株さんだった。
古「皆! 速く乗るんだ!!」
円「古株さん!」
きっと、この爆発で皆の危険を察知してここまで来てくれたのだろう。なんともありがたい。一斉にその場にいた全員がキャラバンに乗り込んだ。ほとんどの人が乗り込んで、グランが後ろを振り向く。視線の先には星二郎は座り込んでいただけだった。一切、逃げる気配がない。グランと円堂がそれに気が付いて走り込んだ。
グ「父さん! 逃げるんだ! さぁ、早く!!」
星「・・・・・・私のことはいい。私はエイリア石の最後を見届けるんだ。それが、お前達へのせめてもの償いだ」
重く開いた口はそう告げた。それを傍で聞いていた円堂は奥歯を食いしばって怒りを覚える。生きがいだって言ったじゃないか。それはヒロト達にも同じなのに・・・・どうして犠牲が必要なんだ! だから腹が立って怒鳴りつけた。
円「何をバカなことを言っているんだ!? こんな所で死んでどうするんだよ!? そんなことをして、ヒロト達が喜ぶと思うか!? あんな石ころと一緒にあの世に行くなんて・・・・・アンタが死んで悲しむ奴が目の前にたくさんいるんだ!!」
星「私がいなくなってなぜ、そんなに悲しむ!? 私はここで償いを ———— 」
円「まだわからないのか!? みんなには、アンタが必要なんだ! みんなを悲しませたくないなら、生きて自分が犯した罪を償え!」
しばしの沈黙。例え、罪人でも家族はいる。その家族を更に悲しませてどうしたいのだ。それは絶対に手放してはいけないものだというのに。グランの面影がすっかり失くしたヒロトが手を差し伸べた。星二郎は顔を上げて涙を浮かべる。
ヒ「行こう・・・・父さん」
星「こ、こんなに酷いことをした私をお前は許してくれるのか? ヒロト」
ヒロトも同じように涙を浮かべながら、その言葉に頷いた。引っ張ったその手は冷たかったが、不思議と心は温かくなった。
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キャラバンはガンガン飛ばした。もちろん、閉じ込められるのを避けるためだが、猛スピードだった。車内は大きく揺れた。もっとも大勢で乗っているのであまり身動きは取れないのだが。出口に近づくにつれて外の光が見えてきた。古株は一本道に差し掛かったところでアクセルを思い切り踏んだ。外の光景が広がって、さらにアジトから離れる。次の瞬間にアジトが完全に崩れる。まさに紙一重、あと数分遅れたら閉じ込められていたところだ。
円「これでエイリア石も、この戦いも終わったんだな・・・・」
豪「あぁ・・・・」
颯「あ、あの。みなさん」
円堂と豪炎寺が見届けたと同時に下から声を殺している颯音がいた。下から? いや、正確には足元の近くからだ。嫌な予感がしてきて恐る恐る全員が颯音の方へ視線を向ける。
颯「古株さんが・・・・見た目によらず、けっこうワイルドな運転するから・・・吹っ飛んで・・・・・結果的に今、身動きが・・・・・」
親父「ぎゃあああああ!!! 颯音 ————!!?」
そこには、巨体な壁山が横になっていて、その下に颯音の腕らしきものが見えていた。おそらく、先ほどの激しい運転と大人数でうまく力が入るこが出来ず吹っ飛ばされて偶然、壁山の方へ行って、壁山もまた体制を保つことができなくなったのだろう。そのまま颯音の上へ転び・・・・つまり、颯音は完全に壁山の下敷きになっているということだ。圧迫されているせいで息をするのもつらそうだ。
壁山「うわぁ————!!!! ごめんっス!!」
木暮「ダメだ、壁山! 動いたら、余計に東條が圧迫される!!」
颯 「て、天国が・・・・み、見え・・・・・・」
壁山「えぇ!!? そっちに行っちゃダメっス!!」
親父「Came back please!!(戻ってこい!!)」
颯音は手を震わせて助けを求め、壁山は退こうとするがパニックになってうまく起き上がれない。ただ手足を動かして暴れているので余計に颯音を圧迫する。木暮もパニックになって間違った指示を出す。そしてパニックの領域を超えて思わず、普段しゃべっている英語で颯音を引っ張り出そうとする父親。まさにカオスとしか言えない状況だった。ここで静止をかけたのは暁だった。随分と深いため息をついて、ただただ冷静に続ける。
暁 「落ち着けバカ共。親父は無駄にうまい英語力を今、披露するな! つーか、皆で退かせばいい話だろ! さっきのシリアスシーンもどこへ行った!?」
その後、壁山を三人がかりで起き上がらせ、下敷きになった颯音は「酷い目に合った」と呟いて壁山が必死で泣きながら謝ったらしい。