二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】〜俺のサッカー〜『第七章・明かされる記憶』 ( No.347 )
日時: 2012/10/22 18:04
名前: まい (ID: CMvpO4dN)

〜第31話〜「ほんの少しの変化」

その後、キャラバンはアジトから少し離れた所で停め、全員キャラバンから降りた。その近くにはパトカーが二台と大きな護送車が二台停めている。こんなに車があるのはここにいる星二郎を署にまで送るからだ。

ジェネミストーム及びイプシロンの子供達を鬼瓦刑事の部下たちにより、無事保護された。カオスに所属している子供たちは追放して何処かへ逃げたらしい。しかし、ジェネシスが負けたことをニュースにでも流されれば彼らは警察に自白してくれるだろう。彼らもまた、操られていた側の人間でしかも子供、刑はそんなに重くない。精々、有期刑1か月ほど・・・・もっとも、ココにいる星二郎は無期禁錮くらいの重罪だろう。

鬼瓦刑事が星二郎の方へ歩み寄って手を差し伸べる。この手に捕まれば、彼らとは一度お別れとなる。星二郎はその手をとって、パトカーの方へ足を進める。やがて、パトカーの席に座って奥へ詰める。それを見たヒロトは叫びだした。

ヒ「父さん! 俺、待っているから! 父さんが戻って来るまで、ずっと待っているから!!」
星「ヒロト・・・・」

星二郎がそう呟いた瞬間に警察官の一人が座って、パトカーのドアが閉まり、発進してしまった。最後に見た父親の背中はほんの少しだけ小さく見えてしまった。

瞳「響木さん。円堂君達をよろしくお願いします。ヒロト達の傍にいたいのです」
響「あぁ、それが良いだろう」

瞳子は響木に一礼してから円堂達の方へ歩み寄る。これが、雷門イレブンの監督として最後にかける言葉。それはもう、感謝しかなかった。

瞳「ありがとう皆、ここまで来られたのも皆のおかげよ、感謝するわ。本当にありがとう」
円「監督!」

今までやってきたことはすべて正しいことではないと自覚していた。多少の犠牲も出てしまった、だが、目をつむっていた。それも父を止めるためだったから。だけど、彼らはそんな自分を受け入れてくれた。許してくれた。彼らがいたからこそ、こうして愛する父や子供達を救ったのは雷門イレブンがいてくれたからだ。

瞳「また、会いましょう」

最後に深く礼をする。そして急に来た風に長い黒髪をなびかせヒロトの手を取った。その握り合った手はぬくもりが感じられた。残されてしまった子供も事情を聴くため車へ向かっている。暁はそこへ向かっているある一人に話しかける。

暁「海夢!」
海「な、なによ?」

海夢だ。彼女もヒロトと同じで先ほどとは違う雰囲気をまとっていた。エイリア石が破壊された影響か・・・まぁ、そんなことはどうでもいい。暁はおもむろにポケットから小さな紙を取り出して、海夢にそれを突き出した。

海「それ、なに?」
暁「俺の携帯番号とメアドだ。きっと持ち物とか確認されて回収されるが、持ち物は警察署で保管されて戻って来ると思うから・・・・家に戻れる時が来たら、連絡くれ。お前と話したいことが山ほどある」
海「・・・・なーに、言っているのよ。帰ったら、私が直々にする話を聞いてくれたら、話してくれてもいいのよ」

暁「お前、何気に手厳しいな」
海「当然! 私だって、8年間も放っとかれたんだから! 優先してくれるのは当たり前でしょ!!」

そう言いながら唇をとがらせて紙を乱暴に奪い取られる。てっきり、受け取りを拒否されるかと思ったのでほんの少しだけ驚いた。

海「ねぇ、そのマヌケ面やめてくれる? この紙、切り刻むわよ」
暁「それはやめろ!! ・・・・・お前、面倒くさい女だなって言われないか?」
海「ま、まぁ、たまに晴矢とかには・・・・・」
暁「え!? あの晴矢に!? やばい俺、今少しだけ晴矢のことを尊敬したかも」
海「それはどういう意味なのか。教えてほしいわ、出来れば詳しく」
暁「嘘、嘘。本気になるなよ。冗談だって」

黒く微笑むその姿は悪魔のようだと肌で感じた暁は冷や汗を掻いた。しかし、同時に昔もこんな風に会話をしたことがあるのを思い出せば自然と笑いがこみあげてくる。笑ってしまうと海夢に小突かれてしまったが。

海「それじゃあ、もう行くから。待ちくたびれて電話した時、私の声を忘れたら承知しないわよ」

確かに、これ以上待たせたら警察に迷惑が掛かってしまう。それよりも、最後の一言が気になってしまう暁がいた。暁が約束を忘れる訳ないのだが、海夢は一応と意味で言ったことだろう。しかし、それに気づかない暁は顔をかしげる。短い沈黙をしたところで暁は口を開いた。


暁「それはあり得ない。だって・・・・・俺、お前のこと好きだから忘れる訳ないだろ。それに ————— 」


言いかけた次の瞬間、海夢の拳が暁の鳩尾へ飛んだ。女子の力をナメていたのかもしれない。いや、冷静に考えてみろ。ジェネシス計画のために特訓してきた海夢に殴られたのだ。痛いに決まっているだろうが。あまりの痛さで涙目になり、その場へしゃがみこんでしまった。完全に悶絶状態である。

颯 「兄貴!!? 大丈夫か!?」
暁 「こ、これが、大丈夫そうに見えるか?」
颯 「ううん! 全然見えない!」
暁 「なら、聞くな!! アホ! それより海夢は!?」
颯 「女の人なら、顔を真っ赤にしてとっくに車に乗ったよ」
暁 「はぁああぁ!!?」
親父「お前も、スミに置けないな・・・・」
暁 「へ? 俺、何かやらかした!?」

まさか、弟の颯音までも痛そうに見える今の状況はなかなか珍しいものだろう。殴った本人は耳を真っ赤にしながら逃げるように護送車へ乗ったので、いろんなショックを受けた。本当に連絡が来るのか不安である。まぁ、それ以前に自分から墓穴を掘ったことにも気づかない暁も悪いが。
一方、暁に告白(?)されてしまった海夢は。

(何、あれ!? バカじゃないの!? あのタイミングで告るなんて・・・・でも、あいつのことだから友達として? それとも幼馴染としての確率もある! あ、だけど天然だから、つい口がすべっちゃったとか? ・・・・いいや! そんなことはありえない!! 8年くらい離れていたし、なによりこの事件で酷い事をしたし・・・・・それより、パニックのせいで殴って逃げちゃったけど・・・・・どうしよう!!! 次会った時、どんな顔すればいいのよ!? 絶対に【鳩尾パンチ女】って思われたじゃない!)

咄嗟にやってしまった行動と告白(?)のことでメチャクチャ混乱していた。


護送車が出発した直後に塔子の携帯が鳴りだした。それを取って、電話越しに会話をする塔子は驚きの声を上げた。

円「どうした?」
塔「パパが、みんなに感謝状を贈りたいって・・・・」
響「おぉ! それは良かったじゃないか」
颯「・・・・あれ? 塔子先輩の父さんって?」

ココで颯音が疑問に思った。どうして塔子のお父さんが感謝状を送るだけなのに皆が喜んでいるのか(塔子のお父さんに失礼かもしれないが)暁は塔子のお父さんが財前総理だったのを颯音に伝えていなかったと思った。

暁「あー そういえば、教えてなかったな。あいつの父親は総理大臣だ。すごいだろ」
颯「兄貴・・・・総理大臣って何?」

颯音の一言で全員が石化してしまったのは言うまでもない。それを聞いた暁はこれ以上にない、ものすごい笑顔で颯音の頭を鷲掴み、父である正治はこれ以上にない冷たい目をしながら肩を掴んだ。その二人が掴んだ颯音の体が悲鳴を上げるほど力が込められていた。

親父「冗談だろ? お前、本当に冗談で言ってくれ! いろんな意味で痛いぞ。それ」
暁 「お前はどうして現代を生きているの? ・・・・ねぇ?」
颯 「痛い、痛い! 痛い!! ギブアップ!」

その後は数分間、父親と兄によって颯音のシバきが行われたらしい。