二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぼかろ。 ( No.3 )
- 日時: 2011/04/10 16:13
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
Re_birthday
目が覚めたとき、僕はたった一人で黒く塗りつぶされたように真っ暗な部屋にいた。
何も見えない、何も聞こえない闇に包まれた部屋で僕は一人、ただただ震えていた。
暗闇にも慣れてきて、僕はぼうっと天井を見つめていた。
すると、そこに大きな穴があいているのに気がついた。更に目を凝らして見ると、それは大きなぜんまいだった。
突然、ぜんまいから得体のしれない不気味な声が聞こえた。
「罪深き少年よ。お前は一生、その部屋から出る事は出来ないわ」
その瞬間、僕の頭の中にたくさんの記憶が入ってきた。
僕と一緒に産まれた双子の姉の事、僕が初めて恋をしたあの娘の事、姉がその娘の国を滅ぼした事、民が反逆して攻め込んできた事、そして、姉の代わりに僕が処刑された事。そして、僕が犯した罪の数々。
そして、僕が此処にいる理由と、その結末に気がついた。
もう、楽しかったあの頃には戻ることが出来ないのだと。
気付けば、僕の両手にはめられた赤い手錠。
「それは、きっと誰かが流した血の色」
両の足首には、青い足枷。
「それは、きっと誰かの涙の色」
るりら、るりら—
聞こえてきた歌は、誰が歌う子守唄だろうか。
「どれほどの時が、流れたんだろう。」
僕は、決して動く事のないぜんまいに訊ねた。
時々どこからともなく聞こえてくる、歌声だけが僕の心を癒す。
そして僕は気がついた。その歌の真実の意味に。
もしも生まれ変われるならば「その時はまた、遊んでね」
突然、ぜんまいから小さな光が落ちてきた。それは、きっと・・
「君がくれたメッセージ」
僕が呟くと、突如ぜんまいが回り始めた。そこから、静かに語りかけるあの日の声。
「少年よ。お前の罪が許されることは決してない。だけど"水"という言葉、"悪"という言葉。それらを、私達は歌へと変えるの」
赤い手錠が外れ、僕に語りかける。
「これから、あなたは生まれ変わるのよ」
青い足枷が外れ、僕に話しかける。
「今日が君の新しいbirthday(バースデー)だよ」
やがて全てが周り、そして白く染まる。
「待っていて、もうすぐ君に会いに行くよ————