二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぼかろ。 ( No.4 )
- 日時: 2011/04/13 20:08
- 名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)
囚人
ある時代、ある場所で、一人の囚人が恋をした。
だけど、それは絶対に叶わない恋。何故なら、囚人はそこから出ることは絶対にないのだから。
「セツナイ。」「セツナイ。」
嗚呼・・・・———
「自由」を奪われ、毎日、毎日、迫害を受けた。
こんな「汚い」僕と「綺麗」な君では
「サガアル。」「サガアル。」
手紙を、書いたんだ。それで紙飛行機を折って柵の向こうへ飛ばした。
二人の「壁」を越えて行けるように。
「トンデケ。」「トンデケ。」
嗚呼・・いつか自由になれるというのも、「嘘」だって・・知っていたんだ。
だけど、君さえいればそんな「嘘」も「本当」に変えられる気がした。
「僕と、こっちに来て話そうよ」
けれど、決してこの「思い」は伝わらない。
だけど君を見ている事が、明日へのささやかな「幸せ」。
幾日、幾月、あれから毎日、君からの紙飛行機が僕の
「シアワセ。」「シアワセ。」
だけども君は、突然僕に告げた。
「遠くに行くの。だから」「バイバイ。」「バイバイ。」
嗚呼・・ずっと、苦しみながら今まで生きて来たけれど、これほどまでに泣いた日は無い。
君さえいれば、どんな「運命」も「笑顔」に変えられる気がした。
名前も知らない君と出会って、「未来」が輝いた。そんな気がしたんだ。
「呼ぶ」ことも—
「追う」ことも—
「出られない」—
僕には出来ない————!
「なんだ、この紙屑の山は」
看守長の男が、僕の手紙を取った。
!!!やめろ、それは僕の大切な、大切な手紙なんだ!
ビリッ・・ビリリッ・・・
男が、手紙を破った。僕の、大事な手紙を・・破った・・・
許さない、許さない、許さない!!
ドガァッ
「!!!」
男が倒れた。良い気味だ・・。
「何をする!」
後ろにいた男が、僕の腕を押さえつけた。
それから、数日後。遂に僕の番が来た。
防護服とガスマスクを着た男が暗い部屋に僕を放り込む。
君がいなくなってしまった今、この世に未練はもうないけれど、何故だがココロが叫んでいる。
もう少しだけで良い。もう少しだけ、生きたい。
今はもう、前見たいな難しい気持ちじゃなくて・・最後に君に
「アイタイ」「アイタイ」「アイタイ」「会いたい」
君と過ごした日は、止まらることなく、戻ることなく、走馬灯のように蘇る。
一つ一つ君がくれたもの。それが、僕の生きる「糧」になっていた。
闇が渦巻いている「雑草」の、傍に咲く美しい「一輪花」。
生きて行く「世界」が違ったよ。
だけど、それでも、必死に手を伸ばしていた。
お願い、もしこれが「最後」なら、僕とあの子を話させて!
狭くて暗い、閉じたこの部屋でその声はただ、切なく響く。
胸も息も苦しい。目が痛い。涙が出る。
薄くなる視界の中で僕が見つけた物は、あの子がくれた手紙の切れはし。
あの時破かれた手紙が服にくっ付いていたのかもしれない。
「さよなら」と書かれたあの手紙。あの子からの手紙なのに、貰いたくなかった手紙。だけど、必死に手を伸ばして、動かない足を一生懸命動かして手紙をつかもうとした。
けれど、その手は虚しく空を切る。
せめて、君の名前だけでも———
知りたかった。