二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぼかろ。 ( No.5 )
日時: 2011/04/22 20:47
名前: リリ ◆lsaxZALrTI (ID: zQJPnDCy)

紙飛行機Ⅰ


ある時代の、ある場所で
二人の拙い「世界」を繋ぐ、一つの「紙飛行機」のお話—

毎日、毎日、看護師さん達にばれないようにこっそり病院を抜け出してパパの仕事場で、あの子にあっていた。
名前も知らなくて、話したことが無いけれど、あの子に会うのが私の全て。
とっても綺麗な青い目と、金髪。笑顔はとっても優しくて、どうしてあの子があんなところにいるのか分からなかった。
あの子に貰った手紙を読むと心があったかくなって、頬っぺたが赤くなった。
これが、「恋」なのかな?

だけど、パパは私が病院を抜け出して、あの子に会っていた事を知っていたんだ。
ある日、パパは怖い顔で私に、
「あの子にはあってはいけない」
「どうして?」
「どうしても、だ」
どうしてもって、何?私には、全く分からない。


あなたがいるのなら、それだけで私は生きている意味がある。
光が刺さない、孤独な部屋だったけど未来は輝いていたよ——


日に日に増える、管の数に遠くなる耳。最近では看護師さんやパパの言葉も、何度も聞き返すようになっていた。
歩くのも、かなりきつくなってしまったかもね。
みんな「大丈夫」って言うけど、私にも分かってた。
もう、ここから生きて出るのは無理だって。
だけど、最後にあなたに心配だけは絶対に、かけたくないから。

足に無理に力を入れて、走る。あの子の所まで。
「さよなら」の思いを乗せて、飛んでいく紙飛行機。
ニッコリ笑って、病院へ戻るために歩き出す。
泣きたいよ、だけど、涙はもう見せられない。
「待つよ!いつまでも、待ってるよ!また、君が来る日まで、絶対に!手紙を、無くさずに大切にしていたら・・・また、会えますよね!」
あぁ、初めて聞いた、あなたの声。とっても、暖かいね。
ずっと我慢してたのに、涙が出ちゃった。