二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【Kingdomhearts】 魂の断片 ( No.3 )
日時: 2011/03/23 23:32
名前: 弓弦 (ID: SUsN38YB)

Hearts.Ⅱ 【白髪の少年 — 出会い — 】



灯台の上で陸都の帰りを待っていた二人はぼぉーっと海を眺めていた。

「…なぁ、優海…最近、俺…変な夢見るんだ」

「夢…どんなの?」

奏馬の方を向いて、顔を見る優海。興味津々と言う表情をしていた。
これは話しといた方がいいのか分からなかった奏馬だが、話す事に。
少し、間を空けてから口を開いた。

「俺と年が近いか低いか位の奴等が俺の夢に出てくるんだ…」

「へぇー…それって変なの?」

普通の夢だなっと思った優海は完璧右から左モードに走る。

「何か…懐かしく思う…」

「懐かしい?それは変だね」

「そうだな、変だな」

背後から急に陸都の声がして、慌てて振り向く二人。

「り、陸都?!」

「何時の間に帰ってきたの?」

「さっきだよ、優海。…告白かと思って、聞いておこうと思ったのになーんだ…つまんね」

意地悪の笑みを浮かべて、買ってきたアイスを二人に渡した。

「こ、告白なんかするかよ!」

奏馬は焦りながらアイスを受け取り、陸都を睨みつける。
三人の手には水色の綺麗なアイスキャンディー。
海の匂いと共に美味しそうな匂いが漂う。
夕焼けを見ながら、アイスを食べ始める三人。シャリっと良い音がなった。

「あ…そろそろ帰らないと…」

奏馬はアイスを銜えて、屋上を出ようとする。

「んじゃぁ、私達はまだ居るね!」

「また明日な、奏馬」

「あぁ、また明日!」

ニカっと笑って、階段を駆け下りた奏馬だった。


————


電灯がチカチカと明かりがつき始める道を駆けていた奏馬。
さっき食べていたアイスの棒を口に銜えながら走っている。

「急がないと…家族揃ってご飯食べに行く約束だったの忘れてた」

そう呟いて、更に加速する。そして、曲がり角を曲がろうとした瞬間、誰かとぶつかった。
ドサっとお互い軽く吹っ飛んで尻餅をつき、奏馬が銜えていたアイスの棒がポタっと地面に落ちる。

「いたた…」

奏馬は尻を押さえ、擦りながら立ち上がりぶつかった相手を見た時、心臓の心拍数が早くなった。
綺麗な真っ白い髪の毛。男の子だけど女の子のような雰囲気を漂わす【白髪の少年】。
擦り傷だらけの全身。
黒いコートをはボロボロになっていて、膝からは血が滲み出ていた。光を失いそうな青に近い紫の瞳が奏馬を見上げる。

「…お前…大丈夫か…?」

奏馬は相手に怪我をさせてしまったと思い、慌てて相手を起こそうと手を伸ばす。
しかし、その手は乾いた音と共に振り払われ急に立ち上がって奏馬を突き飛ばした。
奏馬は突き飛ばされ、後ろのブロックの壁に背中を叩きつけられる。

「うっ!」

痛みの声を漏らした奏馬。直ぐに体勢を立て直そうと前を見ると【白い生物】が目の前に。
良く見ると、周りにも沢山いた。今まで見たことの無い【白い生物】を目の前にした奏馬は声が出ない。
右に揺れたり左に揺れたりと予測不能な気持ち悪い動きをする【白い生物】。

「…避けてください!」

さっきの白髪の少年が力を振り絞って、【白い生物】にタックル。
そして、体勢を戻し奏馬の腕を掴み走り出す。

「お、オイ!」

「黙って…走って…下さい!」

息が切れ切れ、血がポタポタと落ちる音もする。そんな少年に腕を引っ張られている奏馬。
さっきの【白い生物】達が妙な動きで追いかけてくる。


———

何処まで走ったか分からないが、どんどんと人の気配がしなくなる。
とうとう、白髪の少年が力尽き何も無い所でこけた。奏馬も一緒にこけて、膝を打つ。
すると、【白い生物】がその周りを囲んだ。もう逃がさないと言う雰囲気を漂わせている。

「…何だよ…こいつら…」

体を起こし打った膝を擦りながら周りを見た奏馬。
しかし、ふと頭に何かが蘇った。—— 何処かで見たことある

「…逃げて…下さい…。貴方を…巻き込んで…申し訳ないです…」

白髪の少年の弱弱しい声が奏馬の耳に入ってくる。

「…逃げない…俺は逃げない!」

その言葉と共に右手が光に包まれた———

「……まさかっ!」

白髪の少年は失いかけていた光を取り戻し、奏馬の右手を見て驚く…。






Hearts.Ⅱ 【白髪の少年 — 出会い — 】End