二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 ≪ボカロ曲小説化≫ ( No.55 )
日時: 2011/07/05 22:27
名前: 夏茱萸 (ID: nC4FdBJT)

第十三章〜禁断の儀式〜


「さ、大体の準備は出来たわ…」

ふぅ、っと一息つくルミカの言葉に、ミリアムとメイサも休憩に入った。

「休んでる暇なんてないわよ?ったく、本当にリアンちゃんを助ける気があるのかしら…」

近くの木陰で涼んでいるミリアムたちに、ルミカのきつい言葉が突き刺さる。
メイサはそれにイラッとしながらも木陰から出て行った。
ミリアムもその後に続いていく。

「…はじめるわよ。心の方の準備はOK?」

「正直かなり緊張してる。でも、早くリアンに会いたい」

ミリアムの真剣な表情を見たルミカとメイサは、にっこりと微笑んだ。

「よし!じゃあ始めるわよ!ミリアムはリアンちゃんの羽根を真ん中より少し後ろへ置いて。…そう、そんな感じ。あ、枠の中から出てもらえる?メイサはもう少し枠から離れてくれるかしら?」

言い方はきつかったが、それでも一番疲労しているのはルミカだ。
二人はそのことに本当に感謝していた。

文句を言いながらでも友人の頼みは絶対に断らない。
ルミカは結構優しかったりするのだ。

そうしている間にルミカが呪文の様な言葉をブツブツと呟き始めた。

ザァっと、森の中に強い風が吹き通る。
ルミカが呪文を唱える度に森が震え、大地が揺れた。

見とれている一瞬の間に、辺りがいきなり輝き始めた。

































「ッリアン!!」

光が消えた後に、リアンの姿が三人の目に映った。
それに真っ先に反応を示したのはミリアムだった。

「リアン!やっと…ッ逢えた!」

震えながら言うミリアムの方を見て、リアンは悲しげに微笑んだ。

その身体は、向こうの景色が確認できるほどに透けている。

「…久しぶり、ミリアム」

「…うん」

ミリアムに挨拶した後、リアンの視線はメイサの方へと向けられた。
それに気づき、メイサもリアンを見つめ返した。

「お久しぶりです、メイサさん。みんなに大変な迷惑をかけてしまって…本当に申し訳ありませんでした」

深く頭を下げるリアンにメイサは苦笑してしまう。
そして、優しい声で告げた。

「もういいのよ。あなたの罪は許されることはないけれど、そのことにあなた自身が納得してるんでしょう?それなら何も言うことはないわ。カイナやラグミナには私が言っておくから。元気だったってね」

優しく微笑みながら涙を流すメイサに、リアンは涙を溜めてお礼を言った。

再びミリアムの方に向き直ると、彼女は声を出さずに震えながら泣いていた。

「ミリアム…僕は君が本当に好きだった。君のために親友を裏切り、自分を捨てた。でもね、勘違いしないでほしいんだ。僕はそれを悔やんでなんかないし、君のためなら命も捨てられる…ってもう捨てたんだけど」

「…リアン…ッ」

リアンの言葉に、ミリアムはただ頷くことしか出来なかった。


「…ミリアム、僕の近くに来てよ」

「うん。あのね、リアン」

近づきながらミリアムは口を開いた。

「私ね?リアンにもう一度会えたら、伝えたかった言葉があるの」

「…?何なの?」

















涙を袖で拭い、ふわっと微笑みながら言った。

















「リアン、ホントに今までありがとう!私はありのままのリアンを…」






































『愛してる』














































その言葉を聞いたリアンは、大粒の涙で頬を濡らしながら大きく笑った。


そして、三人の顔を順番に眺めた後、



スッと何処かへ消え去っていった…—————