二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 ≪ボカロ曲小説化≫ ( No.56 )
日時: 2011/07/13 20:19
名前: 夏茱萸 (ID: Zqou3CL2)

第十四章〜禁断の場所〜


リアンが消えた瞬間に、ミリアムを襲ったのは失望感と大きな疲労だった。
そのまま地面へと崩れ落ちそうになる彼女をルミカが慌てて支える。

「ちょっとミリアム大丈夫?疲れたなら休んでてもいいのよ?」

「…いい。もう少しだけ、ここにいたいの…」

泣きそうな目でそう訴えられ、ルミカは言葉に詰まってしまった。

「そういえば、リアンの魂はどうなったの?救われたってどういうことなのか、具体的に説明してよ」

話に追いつけなかったのか、メイサが拗ねたように問う。

「あぁ、そう言えば説明してなかったわね。…リアンちゃんの魂は一言で言えば救われたんじゃないかしら。ただリアンちゃんの行った場所自体が、救われたって言える場所なのかどうか…」

「…どういうことよ」

言葉を濁すルミカに、メイサとミリアムは少々苛立った。

「リアンは、どこに行ったの?」

恐る恐る聞くミリアムを見て、意を決したのか。ルミカはゆっくり口を開いた。



「…地獄よ」




その瞬間、メイサは目を見開いて言葉を失くし、

ミリアムはその場で硬直してしまった。







































「…ッルミカ!リアンは…本当に地獄へ落ちてしまったの!?違うよね!?だってそれじゃ、リアン全然救われてなんかないじゃない!」

暫くして頬を濡らしながらミリアムがルミカに縋り付いた。
それを見たメイサも、泣きながらルミカを睨んでいる。

「…ミリアム、悪いけど貴女にだけは言えないの。家へ入って休んでてもらえるかしら?メイサは残っていてちょうだいね」

「そんな…ッ!」

「ミリアム!!…分かるわよね?貴女が少し、ほんの少しだけ我慢すれば、リアンちゃんは助かるかもしれないのよ…お願いだから、ね?」

ルミカは優しくそう言って、ミリアムの緑の髪をそっと撫でた。
それに少しは納得したのか、重い足取りで家の中へと消えていった。



「さて、メイサ。話さないといけないことが結構あるのよ。聞いてくれるかしら?」

「…もちろん」

「ま、立ち話もアレだし、移動しましょうか」


そう言ってルミカが提案した場所は、あの教会だった。


———ミリアムとガノムが誓い合うはずだった場所。

———ミリアムとレオンの出会った場所。


全てがあの教会で始まったことなのだ。
そして…———



「私たちが逢ったのも、確かこの場所よね?」

移動し終わった二人は、近くのベンチへと腰掛けた。メイサは座った瞬間、苦笑しながらこう言ったのだ。


「そうね。あの時はまだお互いに若かったわよね〜」

「あら、ルミカはあまり変わってないような気もするけど」

くすくすと微笑み合い、お互いに昔の事を思い出しながら懐かしんだ。



そう、昔はメイサも人間だったのだ。
ルミカの友人であり、姉妹の様なものでもあった。



何故、メイサは天使として生まれ変わったのか…



それにはルミカという友人の存在が、深く関わっていたからだった———