二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ〜俺達だって恋はする〜 シチュエーション募集中! ( No.16 )
日時: 2011/05/03 15:40
名前: 琴葉 (ID: mYaacdZq)

エピローグ

「それで? 二人とも、何話してたんだ?」

 練習が終わり、夜。宿舎の食堂で、守がニヤニヤしながら風丸に尋ねた。風丸は飲んでいた茶を思い切り噴き出し、げほげほと咽ていた。

「おま、大丈夫か?」
「いや……まあ、大丈夫だけど」
「俺が行ったとき、二人ともぐっすり寝てたし。何かあったんじゃないのか?」
「いや……それは、えっと」

 しどろもどろになる風丸とニヤニヤしながら聞いている守の前に、味噌汁が置かれた。同時に顔を上げると、そこには悠里と冬花が立っていた。

「お、ありがとう。……これ、フユッペが作ったのか?」
「ううん。これは悠里が作ったの。味見させてもらったけど、すっごく美味しいのよ、これ! 悠里は将来いいお嫁さんになれるね!」
『嬉しいけど 恥ずかしい』

 悠里が顔を赤くして答えた。あの後も、結局悠里の声は戻らないままだ。が、風丸はそれでもいいと思っていた。声が出るようになるのはもっと遅くてもいい。今はただ、悠里を守るのが自分の役目だ。そう、感じていた。

「そういえば悠里、風丸と何話してたんだ?」
『前の中学に居たときの話をしていた
 風丸君は 「俺が守ってやるから」と言ってくれた』

 守の問いに何の躊躇いもなく答えた悠里に、風丸が顔を赤くした。

「風丸、そんな事言ってたのか?」
「い、いや……ゆっ、悠里が少しでも楽になれば、って思ってさ、そしたら、自然に……」
「風丸君は、悠里が好きなの?」

 焦る風丸に、冬花がトドメをさした。

「なっ……」
「そういえばお前、前に悠里が好きっぽいふうに「わーっ! わーっ!」」

 悠里の台詞を被せ、風丸は慌てて白米をかきこんだ。悠里はしばし風丸のそんな様子を見て、笑っていた。
 悠里は恐らく、知る由も無かっただろう。風丸が心の中で

『——好きで悪いかよ』

と思っていたことを。


第一章 風丸編〜風の落とし物〜  完