二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アリスと兎の逃避行 【イナズマイレブン】チームK戦突入 ( No.242 )
日時: 2011/07/28 09:33
名前: さくら (ID: Rn9Xbmu5)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

「試合は3時から。お前達無しで どこまで戦えるかな」

「まさか影山、お前が試合日程を…!」

「フッ…そこでイナズマジャパンが負ける姿をじっくり楽しむんだな」


不敵な笑みを浮かべながら、ミスターKはこの場を後にしようとする。


『あ、待ってっ・・・!!、いっ、た、』


走ろうとすると、足の痛みが更に増した気がした。

そのせいでバランスを崩し、転けそうになった。



「まんまとハメられたってわけか。あーあ、こいつらに付き合うんじゃなかったぜ。」

『そんな言い方無いじゃん。アンタには親切の一欠片も無いの?』

「だがハメられたのは変わりねぇ」


「お前等其処までにしておけ。まだ試合に間に合わないと決まったわけじゃない。試合は3時からって言ってたよな・・・、」

「・・・まだ時間はある。」


画面に表示されている時間を見て、円堂が言う。

フィディオが直ぐに用意してくれたバスに乗り、私たちは港へと向かう。

バスの中で、フィディオは船の出稿時間を確認する。


「…2時35分の船に乗れば3時前にはヤマネコ島に到着するんだな。ただし それに乗り遅れると次の船は4時30分…分かった、ありがとう」

「有難うフィディオ。何とか間に合いそうだ」

「有難うなんて・・・元はと言えば俺達の所為・・・、」

「それは違う。全ては仕組まれていたんだ。俺達が影山を見た瞬間から・・・!」

『本当、酷い事するよ。影山はっ・・・!』

「影山のやりそうな事だ。」

「あぁ。フィディオも気をつけろよ、またどんな汚い手を使って来るか分からないからな、」

『また今日みたいなことがあったら、相談してよね。絶対!』


「はは、ありがとうサクラ。でも負けはしない。彼がどんな手を使って来ようと、俺達は俺達のサッカーを貫くだけ。そして決勝トーナメントへは必ず行く!」

「お前、やっぱり凄い奴だ。俺も負けないぜ!」



フィディオと円堂は、バスの中で頷き合う。

サッカーっていうのは、こういう所が素晴らしいスポーツなんだと思う。只楽しいだけじゃない。試合を通じて、沢山の人と繋がる。

それで、自分が困った時、チームメイトだけではなく、ライバルや皆が駆け付けてくれる。自分の為に。

私は、今改めて、サッカーを熱く思った。



「この森を抜ければ直ぐ港だ!」

『良かった、これで間に合う、』


皆が歓喜の声を上げるのも束の間、急にバスが止まる。


「どうしたんですかっ!?」

「・・・事故、みたいだな、」

「「「!?」」」

「こんな時に…!」


「走る、しかないだろう」


円堂がお礼を言うと、皆一斉にバスを飛び降りる。

その瞬間、私の足にまた酷い痛みが走った。


『馬鹿っ・・・!!こんな時にっ、』


するとその瞬間、身体が宙へ舞う。

フィディオが、私を抱き上げたのだ。そのまま肩に引っ掛けるように私を抱き、走る。


『フィディオ!?や、やめて。私重いし、・・・走れるからっ!』

「無茶言うな!その足じゃ、走れないに決まってる!それに、このアルゼンチン戦が終わったら、今度はアメリカだ。ジュリアと本気の勝負、出来なくなるぞッ!!」

『・・・っ、』


“今は大人しくしてろ”と言い、走るスピードを上げる。










だが、試合が終わったばかりで、しかも私を担いだまま走るフィディオも人間だ。息は上がってるし、段々走るスピードも落ちてきている。

やっと森を抜け、港に付いた。ギリギリかな、良かった、と油断した瞬間、船が出航してしまったのだ。



『あっ・・・!!船、・・・。待ってー!!!』



私の叫び声も浪の音にかき消され、無駄声となった。

出航時間に、間に合わなかった。