二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アリスと兎の逃避行 【イナズマイレブン】バトン開始! ( No.282 )
日時: 2011/08/18 13:05
名前: さくら (ID: Rn9Xbmu5)
参照: 否曲運命論


——02——





「では、行ってらっしゃいませ」



「行ってきます、」



萩と別れ、電車に乗る。

私は、電車通学で雷門に行く事になっている。


何故雷門町に住んでいるのに、電車で通学しなければならないのか。それはとても簡単であった。

家と、学校までの距離がかなりあるからである。

10年前までは、雷門町も此処まで広く無かったらしい。それが、10年前のFFIを切っ掛けに、名門校となった雷門中がある雷門町は、領土拡大。前のいくつかの町が集まり、今の雷門町になった。今では“町”というよりか“市”と言った方が正解な位大きくなった。

私の家は結構雷門中学とは距離がある為、電車かバスか車でないと通学出来なかった。

なので、私は電車通学を選び、駅まで萩と一緒に行き、次の駅で電車を降り、それからは歩いて行く。


今日は、予定していた時間より早く準備出来たので、早い電車に乗った。








電車を降り、暫く歩いていると、曲がり道で誰かにぶつかった。




「———……痛ッ、」

「ちょっと、ちゃんと前向いて……ッ、!?」

「………ッ、」


曲がり角を曲がると、真っ直ぐ歩いて来たであろう少年と、私は頭、彼は肩をお互いぶつけたのである。

私は、下を向いて歩いていた為、前が見えず、ぶつかって赤くなった額に手を当て謝罪しようと、ゆっくり顔を上げると、同時に額に手を当てる私を心配したのか、顔を覗こうとした彼と至近距離で改めて対面する。

そして何秒間か、私達は石化するのであった。





鼻と鼻が接触しそうな位の至近距離で、彼が整った綺麗な顔をしていたから、不覚にも一瞬赤くなったのもあるが、殆どの理由は、突然その私が会いたくない幼馴染の懐かしい顔に対面し、思わず瞳が滲んだからである。

深いブラウンの緩やかなウェーブが似合う、一瞬女の子の様に見える整った顔。強さを感じさせる黒み掛かった情熱的な紅い瞳。さっき聞いた声も、声変わりはしていて顔も昔よりは大人びているが昔の面影がある為、一瞬で分かった。


一番大好きだった人で、一番会いたくなくて、一番大嫌いな人。





「・・・・・・・こ、虹彩・・・?」





名前を、神童拓人、という。

***
ちゃんと前を向いて歩こう。