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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- きみへ捧ぐ鎮魂歌(1) ( No.3 )
- 日時: 2011/04/02 18:13
- 名前: にょーん ◆ylmP.BhXlQ (ID: miRX51tZ)
「え? 見えるって……ナニが?」
これはどういうことだ。まったくもって予想外で、俺を混乱させるにはひどく容易いものだった——俺は勝負をしに来たんだ、もう死んでるとか幽霊になってるとかあれこれ気味の悪い噂の付きまとう、伝説のポケモントレーナーに。
それなのに、何故いきなりオカルトじみた言葉を突き付けられねばならない? 確かに彼の存在もオカルトじみていて——いや、まあこうやって話せているということは幽霊でもなんでもないから、オカルトとは無縁なんだろうけど。
「……マリルの霊が、だ」
淡々と開かれる、聞いたところによればレッドとかいう名らしい彼の口。ごうごうと相変わらずシロガネ山は吹雪いていて、ろくに視界も確保はできていない。本来ならかき消されそうな彼の声は、しかしやけにはっきりと耳に届いた。
マリルの霊が、俺の背後に見える。そういうことらしかった。
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