二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: FAIRYTAIL 〜闇を砕く魔導士〜 コメント募集中 ( No.503 )
日時: 2013/03/30 12:32
名前: 雷人 ◆5GapKydGRo (ID: UTfJ0T6c)

〜第214話 『レイン』〜

—————十数年前 ウルの墓場前にて
その日は最悪な天気で雨所では無く、大嵐が接近していた為に風も止まなかった。グレイは雨に濡れながらもウルの墓場の前でじっと静かに過ごしていたのだ。

グレイ「......元気でな、ウル。」

墓場へ顔を出して数分後、グレイはその言葉だけを伝えると重い腰を上げて立ち、何処かへ去って行った。
ウルの指示通り、西の国へ向かうグレイだったが途中、古びた一軒の小屋を見つける。

グレイ「少し雨宿りさせて貰うか。・・・・・御免下さい。」
???「ん?珍しいお客さんだね。何か用かい?」

小屋の中にはたった一人のグレイと同じ位の歳の子が居り、びしょ濡れのグレイを風呂へと入れた。

???「今晩は天候が荒れるね、きっと。」
グレイ「—————」
???「どうしたの?此処へ来て、一度も喋らないじゃないか。具合でも悪いのか?」
グレイ「・・・・・何でも無い。ってか、紹介が遅れて御免。俺は〝グレイ・フルバスター〟。」
???「グレイ君か!僕は〝レイン〟。宜しくね!・・・・・これから泊まる場所が無いんだろう?だったら丁度良い。僕の家に居候するかい?」
グレイ「良いのか?」
レイン「古くて汚い家だけど、それで良いなら大歓迎さ!」
グレイ「有難う!この天気が治まるまでは泊まらせて貰うぜ。」

こうして夜が明け、後日も生憎雨だったが午前中で治まった。そして午後、グレイは西の国へと急いで向かい掛ける。
その途端、レインの家から数メートル離れた所で当時若干有名だった闇ギルドの連中に目を付けられたのだ。

闇魔導士1「この小僧、売り飛ばせば数十万はいくんじゃねぇか?」
闇魔導士2「結構な魔力を感じるな。おい小僧!俺等と一緒に付いて来いよ!」
グレイ「あぁ?俺は西の国に急いでんだ、そこ退いてくれ。」
闇魔導士3「そうはいかねぇなァ。数十万も手に入りゃァ、マスターに差し出してランクアップなんだ。来い!」
グレイ「止めろ!〝アイスメイク—盾《シールド》〟!」
闇魔導士2「嘗めた魔法使いやがって!〝煙幕《スモーク》〟!」
グレイ「嘗めてなんかねェ!この魔法は偉大な師匠の魔法だ!お前等こそ、嘗めてると___痛い...目に.........」

周囲を煙幕で囲まれたグレイはその煙で気絶をし、闇魔導士達に浚われ掛けた。だが、その姿を見たレインが助けに入ったのだ。

レイン「〝天太刀『牙狼』〟!」
闇魔導士1「あぁん?って危ねェ!」

レインは腰に提げる小さな剣を振るい、空間に斬波を放ってグレイを担ぐ闇魔導士を斬る。

闇魔導士3「て...てめェ!〝連拳《コンティナックル》〟!」
レイン「〝天太刀『吹雪』〟!!!」
闇魔導士3「グハァッッ!」
闇魔導士2「〝大煙幕《ビック・スモーク》〟!!!・・・・・隙有り!」
レイン「〝天太刀『気圧爆破』〟!!!」

レインは何度も小さな剣を振り回し、辺りの空間を切り裂く。そして、剣を仕舞うと同時に切り裂いた空間の気圧を斬り、爆破させた。

レイン「大丈夫かい、グレイ君?気を失ってるだけだ、良かった〜。」

その後、レインはグレイの手当てをして数日が経った。グレイだけでは危険だと言うレインの願いからレインは西の国まで一緒に同行する事にした。

レイン「西の国まで何をしに行くんだい、グレイ君?」
グレイ「魔導士ギルド〝妖精の尻尾《フェアリーテイル》〟に入門する。」
レイン「魔導士ギルドか...ついでに僕も其処へ入門しようかな。」
グレイ「本当か!レインが居りゃァ、どんなクエストでも突破出来る!一緒にチーム組もうぜ!」
レイン「うん!」

そう誓った筈なのに......数日後、グレイ達を悪夢が襲う。
—————所変わって、マグノリアの傍ら町にて。
此処等で有名な戦力を持つ、現在廃立の闇ギルド〝蜘蛛の海《スパイダーラグナ》〟にて。

闇魔導士4「仲間三人、子供一人を売ろうとして重傷。その他、異常ありません!」
マスター〝サイファン〟「子供一人も捕まえられんと......逆に仕打ちまで打たれるとは何事じゃ!直ちに殺害せよ!」
闇魔導士4「はっ!」
サイファン「それとフレイ、昨晩は何処へ行って居った?主のせいでギルドの一部の勢力は失われたんじゃ!」
フレイ「それはアンタの実力が薄いからだろ。第一、仲間護れねぇお前にこれ以上付いて行く自信がねェ。」
サイファン「何じゃとォっっ!!!全戦力、直ちにフレイを取り抑えろ!己の命をワシに授けェェい!!!」

マスターの指示に従い、蜘蛛の海の部下魔導士は全て動きフレイを抑えようとするがフレイは周囲に炎の膜を張り、部下達は飛び掛かった途端に火傷や焼け爛れる。

サイファン「仲間までも殺す気か、フレイ!」
フレイ「殺してんのはテメェだ、糞マスター。アンタが指示なんか出さなきゃァ、コイツ等は焼けずに済んだのに。しかも昨晩の襲撃もアンタの〝借金〟のせいだろ。」
サイファン「覚えてろ、フレイ!必ず主を殺す程の強者を揃えて、お前を殺してやるからな!」
フレイ「アンタの実力を見て付いてく奴なんて俺みたいに餌で釣られる様な馬鹿なガキしかいねェよ。」

そう言い、当時暴れん坊だったフレイは命の恩人とまで言えるギルドを去ったのだ。
そして、時は過ぎ悪夢の様な日が来たのだ。グレイたちは未だ程遠い程の距離の所で以前にも逢った闇魔導士達と出逢う。

闇魔導士1「フレイさんに俺等はこの命を授けたんだ!仮にもあの馬鹿マスターから奪って選んでくれたフレイさんに感謝の意を見せるぞ!」
グレイ「アイツ等は結構前に出くわした糞チンピラ!」
レイン「下がって、グレイ君。今の君じゃァ、倒せる相手かもしれない。だけど、危険な目に遭ったら次は助け出せないかもしれない。アイツ等の魔力、前回よりも数段上がってる。」
闇魔導士2「っ!フ...フレイさん!」
フレイ「こんな子供、生かしてやれよ。」
闇魔導士3「ですが、我等は今餓死する危機ですよ?子供を売れば、数万の金にはなりますって!売り出しましょう、コイツ等。」
フレイ「馬鹿、よせ!止めろ!」
闇魔導士1&2&3「合体魔法《ユニゾンレイド》!!!〝鉄の煙幕拳《メタルスモークナックル》〟!!!」

闇魔導士達は一気に魔法を解き放って、レインへと魔法をぶつける。そして、レインは手に持っていた小さな剣〝天太刀〟を静かに地面へと落す。

闇魔導士2「気絶すりゃァ、こっちのモンっス!」
フレイ「いや待て!駄目だ、アイツが死ぬぞ!」
闇魔導士3「えっ?」

レインは気絶して倒れたと思われたが、地面に落ちた天太刀が運悪く石と石の間に挟まり、刃を上にして立ってしまったのだ。其処へレインが倒れ、レインの心臓部に天太刀が刺さった。

闇魔導士1「こ・・・これじゃあ、売るにも売れねェ!しかも俺等殺人犯になっちまう!逃げましょう、フレイさん!」
フレイ「おい、評議院に話通した方がいいだろ!仮にも人が死んでんだぞ!おい!」

闇魔導士はフレイの腕を掴み、速攻で逃げた。だが、一人取り残されたグレイは訳も分からずに静かに腰を落す。

グレイ「どうしたんだよ、レイン!死んでねぇよな?生きてるよな?」
レイン「ね...ねェ、聞いて_____グレイ。彼等に罪は無いんだ。評議院には伝えないであげて_____。それと......僕は此処に置いてってくれれば良いから安心して旅を続けて。_____西の国まで未だ程遠いけど頑張ってね。」

そう言うとレインは瞼を閉じて、それから一生瞳を見せる事は無かった。グレイは暗い表情をしながら、ダンボールの中にレインを入れ、その周囲の場所へ穴を掘ってその穴へ静かにレインを入れる。

グレイ「何時か金がたくさん手に入ったら、きっと大きい何処よりもどの墓よりも大きい墓を作るからな。それまで待ってて。」

グレイはそう言うと怒りの目をしてフレイの後を追った。

第215話へ続く