二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ図書館【小説集】〜参照が100突破だとぉ?!〜 ( No.51 )
日時: 2011/04/10 21:57
名前: 向日葵 ◆g4BVQuXJmc (ID: H9DI71mW)
参照: 元・林檎だよ☆

『幸運・友情・決意の印』



綺麗な薄いピンク色の桜の花弁が舞い落ちる春。


稲妻町にある鉄塔の上に、二人の少年と少女が並んで座っている。



「そっか…やっぱり行っちゃうんだな」


「うん。自分で決めた事だから…円堂君、今までありがとう!」



私は七種 翠(ななくさ みどり)。円堂君とは幼馴染なんだ。


色々あって、今こうして鉄塔の上に居るんだ。



「ブラジルかぁ…遠いな…」


「そうだね…。会える機会はかなり減っちゃうね…」



そうなの。私はサッカーの勉強で、本場のブラジルに留学する事になったんだ。


海外だから、円堂君達にはしばらく会えない。


だから、今こうやって話してるんだ。



「あ、そうだ!!翠に渡したい物があるんだ!」



そう言うと、円堂君は持って来ていたバックから、桜色の手のひらサイズの箱を取り出した。



「これ、何?」



私が聞くと、円堂君は、「まぁ開けてみろ!」って言うから、ゆっくりと箱の蓋を取る。


中には、透明な水晶の中に入った紅い花が入っていた。


「わぁ…。これ、『クリスタルフラワー』だよね?」


クリスタルフラワー…厳選した花びらを丁寧に乾燥させて仕上げたドライフラワーを、ガラスに封じ込めた物の事。



「えっと…この花は…確か『ゼラニウム』って花だったと思う!」


「ゼラニウム?」



ゼラニウム…茎葉に独特の香りがあり、ハーブの仲間として知られる種類もある。



「この花の花言葉、調べたんだ!」


「え?!」


円堂君…花には興味無かったんじゃ…?



「花言葉は、『幸運』『友情』そして…『決意』だ!」


「幸運、友情…決意……」


今にも流れだしそうな涙をこらえて、今、円堂君が教えてくれた花言葉を繰り返す。



「向こうに行っても、サッカー頑張れよ!」



その時、自分の目頭が暑くなったのを感じた。


ギュッと貰ったクリスタルフラワーを抱きしめる。


滲んだ涙を服の袖で拭き取ると、円堂君に笑顔を向ける。





(うん、頑張る!円堂君、今までありがとう!)



—END—