二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: NARUTO疾風伝 第一幕—鉄の国— ( No.17 )
日時: 2011/05/28 21:12
名前: おぷゥ (ID: R4l9RSpR)



 「螺旋丸!」


 「ギイイイイイイイイ!!!!!」



ナルトは鬼の目玉に螺旋丸を放った。
 鬼の目玉は焦点も合わさず、ぐるぐると跳んでいた。


 谷の岩肌がゴツゴツした底、鬼の目玉が跳ね上がるたび、その目玉からは紫色の液体が飛び出る。 血走った目でぐるぐると回る


 外は朝。 ナルト達は鬼の目玉を追い込み、この場所でトドメを刺そうとしている。


  
 あの液状の体をなくした目玉は、もはや成す術が無くなっている。
ただただ谷底の岩に自身をぶつけ・・・・・・泣いていた。

    「・・・・・・。」

  ナルト達が動きの止まった目玉に歩み寄る。


目玉に警戒しながら近づくと

     ヒュウウゥ・・・・・・—



 一体どこで呼吸しているのか・・・・・・小さな息の音が聞こえる
目玉は小さく見える青空を眺めていた。

   サクラは顔をしかめてその様子をみていた。
 それはナルトや・・・サイでさえも同じであった。

何故か、こちらの心が辛くなるのだ。


   「行くってば」

 ナルトは息を整えクナイを構えなおした。
目玉がナルトの姿を映し出す、——その時だった





  痛いよ・・・






  苦しいよ





    ねぇ






  君にわかるかい?







 優男のような高い声がナルトの脳内に響いた。
「!?」ナルトは目を見開き目玉を見た。



  紫色の液体を流しながら、ナルトを見据える目玉。



 
——理解されない僕の気持ちわかる?


     踊らされた僕の気持ちわかる?



       誰も責められない気持ち・・・わかってくれる?







    —いきなりだった





 「うッ!!!」

ナルトは頭を抱えて倒れこんだ、カランッとクナイがその場に落ちる
 
「「ナルト!!」」サイとサクラがナルトを抱きかかえた。


 

 ナルトの中で、映像が流れていた。

   娘が白の姿で谷に落ちる、激しい怒り、ざわつく村人、


 鬼になる青年。




    「・・・そうか・・・アンタは・・・・・・」


  目を見開き、目玉をナルトを見た。
「ナルト!大丈夫なの!?」サクラの心配する声を無視して2人の手を振り払った。


    「アンタは人間で・・・・・・」


 全てを知ったナルトは、目玉に近寄り膝をついた。
息絶え絶えの目玉を悲しそうにナルトは見る。




 —理解して




   「うん、わかるってば」



 —怖いんだ


  「寂しいとかじゃ、ねぇよな・・・・・・」




「ナルト?」サイの言葉にも反応しないナルト。
2人には目玉の声は聞こえないようだった。



  「・・・・・・・大事な奴が居ない時とか・・・・・・裏切るとか・・・・・・ツラいよな・・・・・・」

 いつのまにかナルトは涙を流していた。



 彼の記憶が、自分の過去と重なったのだ。







 目玉にはもう聞こえないだろう、理解者の声が・・・





 ——一人にしないデ