二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】 紅瞳の少女 一話うp! ( No.21 )
日時: 2011/04/11 20:33
名前: 姫梗 ◆CfaefuuTtY (ID: vLlTyC08)

「…」
「……………」
「……………………………」


そして沈黙、沈黙、さらに沈黙が続いた後、3人から一斉に驚きの声が上がった。

「い…従姉ぉ!!?神楽、テメー…一度も『従姉がいる』なんて俺達に言ってなかったろ!」
「そうですよ神楽ちゃん!しかも全然神楽ちゃんと違ってまだお淑やグホォッ!」
「知るか!私が一番聞きたいくらいネ!大体親戚にも“春蕾”なんて———…」

だが、その時神楽はウチの名前を口にし、ようやく目を見開いた。
ぞくに言う、何かを思い出して吃驚してる顔、とでも言える顔だ。

「お…思い出したネ!春蕾————何でお前がこんな所にいるアルかっ!?」


そしてウチを指差して、まるで幽霊でも見る様な眼でそう言う。
ハイハイ、そう言うリアクションされると思ったわ。
せやけど先に、さ…

「いい加減、この縄解いてくれへんか?」
「あ、は、ハイ!すいません、すぐ解きますね!」


シュルリ。

ふぅ…やっと解けた。
堅く結ばれていた手も体も、ようやく自由の身となった。
思わずため息がこぼれたが、気を取り直して。

「ほな…」
「お、おう…とりあえず何だ…新八、お茶出せお——」

「ほな…テメェ等ぁ、よっくもロープで縛りよったなこのボケェェェエエエエ!!いっぺん地獄落ちて逝けやゴルァアアアアア!!」

「ええええええええええ!!!?」

ウチがそう叫んだ瞬間、三人の断末魔っぽい叫び声が上がった。





「銀さん、久しぶり!あたしだよ、瑠璃…って、アレ?」
「銀時兄ィ、みんな、ただいまー!さっき瑠璃と偶然そこで会って———
 …って——ええええええええ!?コレどういう状況!?」

そして数分経って、おつかいに出ていた斉賀 和月が帰ってきた。
そして彼女の傍らには、瑠璃と名乗った女の子がヒョコっと現れたのだが…二人は目の前の状況を目の当たりにして愕然とした。
つい最近、万事屋に出入りするようになった彼女等は、以前から銀時の知り合いではあるが…


初めて、神楽含めて万事屋三人が人に殴られのびている所を目の当たりにしたのだった。



* * *



真選組屯所———妙な胸騒ぎがして居ても立っても居られない様子の男が一人。
真選組副長こと土方十四郎は、忙しなく屯所内を行き来していた。
どうやらある人物を探しているように思えるが、煙草をくわえたまま彼が角を曲がると、縁側で外を眺める人影と出会った。

「———ここにいたか、斎藤」

斎藤———そう呼ばれた男は、ゆっくりと視線を上げ、そして土方の方を向いた。

「…どうかしましたか、副長」
「テメェとは長い付き合いだ…いい加減その堅苦しい呼び方止めろっつってんだろ」

ふむ、そう言いたげに腕を組み考え込むポーズをとると、再び彼は視線を上げた。

「…まさか、アンタがそれだけの事を俺に言いに来た訳じゃないでしょう」
「無論だ——“例の件”についてテメェに頼み事がある」
「……」

斎藤はその言葉を聞いて、少しだけ顔つきを変えた。
真選組唯一の常識人、またポーカーフェイスと呼ばれる彼は、感情すら読めないものの、話は通じる男だ。

彼は、土方を見据えた。
土方も、腕組みをしながら面倒くさそうに言葉を吐き捨てた。

「例の奴が——どうやら江戸に潜伏してるらしい。テメェには“奴”について極秘に調査してもらいてぇ」
「…俺、が単独で動けばいい訳ですか?」
「どうも、奴は“アレ”に関わってやがるらしいからな」
「えぇ、それは俺も聞いてます。

 …夜兎族、でしたか」


斎藤が淡々と述べると、土方は黙ったまま頷いた。

「承知しました。アンタは動きたくても目立つから動けない…攘夷志士も目が離せない訳ですからね」
「…悪いな、面倒事を押しつけちまって」
「いいですよ、アンタに、近藤さんに、総悟に関わっている事自体面倒事ですし」
「テメー…悪気があって言ってるんじゃねぇだろうな?」
「…?」
「いや、いい。とにかく、そっちの件は任せた。とりあえず、テメェの信頼できる隊員数人で、できるだけ目だたねぇように調査してくれ」

そこまで言うと、土方は斎藤に背を向けた。
しかし、斎藤はすっと立ち上がり、土方を呼びとめた。

「…あ?」

土方が振り返ると、斎藤は土方の加えていた煙草を取り上げた。
そして、ポーカーフェイスであった彼であるが、その時だけ微かに微笑んで、こう言った。


「煙草は、体に悪いですよ」


そしてそのまま土方を通り抜けた。
土方はその去っていった背中を見て、ポツリとこう呟いた。


「やる気満々、って事か。アイツが笑う時は大抵そうだしな……」