二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】 紅瞳の少女 ( No.3 )
日時: 2011/04/05 21:12
名前: 姫梗 ◆CfaefuuTtY (ID: njcqYR8N)



一人の少女が、ゆらゆらり…江戸の街を覚束ない足取りでのらりくらりと千鳥足で歩いていた。
白銀に染まった髪に、真紅の瞳は、彼女の一番の特徴だろう。

「ようやく…ついたぁ」

不自然にも彼女は、晴れているというのに自分の瞳の色に似た傘をさしているが、その彼女の着る和服とで、自然に傘をさす事を許されている気がした。
…つまりは、絵になる程傘と和服が似合っている、と、言う事だ。

しかし、遠いところから来たのか…その足取りはさっきから覚束ないままだ。
旅の疲れで、少々目の下にもくまができており、今にも倒れそうである。
しかし、そんな時に——たまたますれ違った人と肩をぶつけた。

痛くは、ない。
しかし、少女にはもうすでに崩れたバランスを取る気力さえなく、そのまま地面へと倒れ込んだ。
倒れ際に、白髪の男の人が、驚いた顔をしているのが見えた。
気だるそうだった目が、驚きで見開かれている。

——こっちの方が驚いとるわ!って言うのも、気力があれば言えるんやけどなぁ…

そんな事を頭で思い浮かべつつも、少女は地面に叩きつけられ、その衝撃に意識がさらわれていった。


これが、『万事屋』との最悪な形の出会い。
でも、この日この瞬間に彼に会わなかったら————私はちっぽけな世界に囚われたままだったのだろう。



「ちょっ、ちょっと銀さん!何やってるんですか!?」
「いや、お、俺じゃねーよ?コイツが勝手に倒れてだな…」
「銀ちゃん、言い訳を軽々しく口にする男は、女にすぐ愛想つかされるヨ」
「そうだよ銀時兄ィ…言い訳なんてカッコ悪い真似するなよ。
 ————それより助けないと、ね?」



慌てふためく彼等の声が、遠くで聞こえた気がした。




【Prologue——旅の先にて。end】