二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 53章 チラーミィ ( No.108 )
日時: 2011/05/04 00:44
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

「! エモンガ!」
突如現れたチラーミィは、一体全体どういうつもりか、エモンガに攻撃を加えている。
「おい、何だよそのチラーミィ、てめえのポケモンなのか!?」
イエロは苛立ちながら怒鳴る。
「違う。僕のポケモンじゃない」
「じゃあなんであたしのエモンガに攻撃してんだよ!」
そんなことはこちらが聞きたい。イリスはそう思った。
「ちっ、エモンガ、エレキボール!」
エモンガは電撃の球を放つが、チラーミィはそれを軽く避け、硬化させた尻尾でエモンガを何度も叩く。
「スイープビンタか……アイアンテール!」
エモンガは尻尾を鋼鉄の様に硬化させ、チラーミィに攻撃する。しかしチラーミィも同じく尻尾を鋼鉄の様に硬化させ、アイアンテールを放つ。
「エモンガ!」
その結果押し負けたのはエモンガの方であった。
「チラーミィ……」
どうやらこのチラーミィは、少なくとも今は味方のようだ。イリスはそれだけ理解する。いや、それだけしか理解できなかった。
「エモンガ、燕返し!」
エモガ高速でチラーミィに突っ込むが、チラーミィの草結びに捕らえられ、攻撃は失敗に終わる。そして素早く接近し、エモンガの体をくすぐる。
「すばしっこくて鬱陶しい!エモンガ、ワイルドボルト!」
イエロはとうとうキレたのか、大技で一気に決めるつもりらしい。しかし、チラーミィはジェット機の様に突っ込んで来るエモンガを軽く避け続ける。
「ああ鬱陶しい!苛々する!」
どうやらこのイエロは、このチラーミィみたいなトリックスターの様なバトルスタイルに弱いらしい。
「……チラーミィ、スイープビンタ!」
イリスは、自分ポケモンでもないのに、チラーミィに命令する。普通ならここは言うことを聞かないが
「な!? エモンガ!」
チラーミィはエモンガがワイルドボルトを長時間使い続けてきたために疲労したところを狙ってスイープビンタを放つ。そう、イリスの命令を聞いたのだ。
「おい!そのポケモンはてめえのじゃねえんじゃなかったのか!」
イエロは戦闘不能になったエモンガをボールに戻しつつ、イリスに怒鳴りつける。
「確かにそうだけど、命令を聞いたんだからしょうがない。その言葉に対しては、過去形になるということにしておこう」
イリスはそう言って、モンスターボールを出す。
「まがいなりにも僕らを助けてくれて、僕の指示にも従ってくれたんだ。君はもう、僕の仲間だ」
イリスは、ボールのスイッチをチラーミィの額で押す。するとチラーミィはボールの中に吸い込まれ、リズムよく揺れるとカチッという音がした。
「…………」
イエロは唖然としていて、その場所で硬直している。
「さて、僕は残りのプラズマ団でも狩ってくるか。今の僕じゃきっと足手まといになるだろうし……!」
イリスが一旦目を閉じ、開けたところでその人物はそこにいた。
「N……」
「やあ、イリス」
Nだった。
「凄いじゃないか、イリス。プラズマ団7幹部を5人も倒すなんて。やっぱり君は選ばれた人間だ」
「……N、話すなら場所を変えないか?」
「それについては賛成だ。こんな争いの多い場所じゃ、ノイズが大きすぎて話なんて出来ないからね」
そう言ってNは踵を返し、洞穴の奥へと向かう。イリスもそれに続こうとするが、後ろを振り返る。
見えるのは、ダークトリニィと戦っているジルウェ、シスタ、リオ
レドと交戦中のミナアキ
バイオと攻め合いになっているミキ
ルー&リンとダブルバトルをするベルとキリハ
「…………」
イリスは皆は負けないと信じ、Nに続いて歩き出す。

「ここ、電気石の洞穴は実に良い所だ。電気とは即ち数式。この世の力なのだ」
Nは電気石の洞穴の出口付近まで来ると、突然そんなことを言い出した。
「……物理大好きな君には悪いけど、僕は物理が苦手だ。用件があるなら早く済ませてくれ」
「まあ、そう急かすなよ。僕は君の事を凄い人間だと思っている。これは本当だ」
Nはあくまでもイリスを評価するが、対するイリスはムスッとしている。
「……早く用件を言え」
今度は語気を強めて言う。するとそれが効いたのか、Nは喋りだす。
「はっきり言って今回は君と話し合う気は無い。僕は君を試しに来たんだ」
「試す?」
「うん、君がポケモンを6対手に入れた時、本当に君が英雄になれる資格があるか、試してみようと思うんだ。僕とのフルバトルでね!」
「フルバトル……」
フルバトルとは、一般的に6対6のシングルバトル。つまり自分の手持ちポケモンを全て使ってのバトルを意味する。
「そう、フルバトル。先に言うと逃走と降参は認められないよ。出てきてくれ、シンボラー」
Nは一方的にバトルを初め、シンボラーを繰り出す。
「やっぱり君は自己主張が激しいよ……出て来い、ワシボン」
イリスは飛行タイプには飛行タイプでと、ワシボンを繰り出す。
「それにしても残念だ。もし君がプラズマ団でなければ、君と僕は最高の友達になれただろうにね」
「残念ながら、僕のトモダチはポケモンだけだよ」
そう言って話を切り上げ、イリスとNの初のフルバトルが始まる。



今回はあのときのチラーミィが登場し、イリスのポケモンとなりました。いやあ、最後のポケモンは何にしようかなとずっと悩んでたのですが、結局チラーミィにしました。理由?可愛いからではないでしょうか?……この辺でこの話は切り上げて、次回予告です。次回はお察しの通りイリスとNのフルバトル……ではありません。次回は番外を書こうと思っています。イリス対Nのバトルを楽しみにしている方には申し訳ありませんが、次回は番外なのです。では、また。