二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 番外編 旧ライモン遊園地の夜 後編 ( No.112 )
- 日時: 2011/05/05 10:35
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「フー、ヨガのポーズ」
「ダブラン、瞑想」
「ドレインパンチ」
「守るだ」
アカリ対イエロの戦いは、今のところアカリが優勢だった。イエロのダブランはアカシとのバトルでかなり消耗しているし、フー(コジョンド)の素早さに付いて行くことが出来ないのだ。だがそれでも瞑想で能力を上げ、守るで攻撃を防ぐなど、下準備を整えている。しかしイエロはちまちましたことが嫌いなのか、防御の合間にすぐ攻撃に移ったりする。だがそこは流石フーと言うべきか、俊敏な動きでダブランの攻撃を回避しながらも攻撃を当てている。
「そのコジョンドはどうも素早さに特化してるみたいだな。そんなら一発でもドガンと決められれば倒せると思うんだが……サイコショック!」
「フー、回避です」
またもや避けられる。これで何回目になることやら。
「……当たらねえなあ。でも、結構楽しくなってきやがった」
イエロはニヤリと笑うが、ふと思い出したように首を振る。
「いや、今回はあのジジイの借りを返すんだった。だから、私情は捨ててとりあえずこいつを潰すなり何だりしなとな……超不本意だけど、アレを使うか」
イエロはそう言うと、ポケットからリモコンの様な物を取り出し、スイッチを1つ押す。すると、どこからか大砲の様な物が出て来て、アカリに向かって発射される。
「別に今回のバトルは公式戦じゃない。トレーナー本体に攻撃しようと、反則を取られるわけじゃねえ」
イエロは勝ち誇るように笑う。大砲の弾はアカリに向かって飛んでいき、もし当たったら怪我じゃ済まされないだろう。
「悪く思うなよ。あたしはもっと楽しくやりたかったが、今回ばかりは仕方ねえ」
大砲の弾はもうすぐアカリに当たるというその時
しゃりん
と音がし、気付いたときには大砲の弾は真っ二つになって地面に落ちていた。
「なあ!?」
流石に驚くイエロ。無理もない、飛来してくる大砲の弾を真っ二つにするなんて離れ業はそう実現できるものではない。
「おいおい、もしかして大砲の弾をその腰に差してる刀で斬ったって言うのかよ?」
「ええ、その通りです」
サラリと言うアカリ。どうやらそうらしい。
「いやいや、まがいなりにもあのバイオのジジイが作った大砲の弾だぜ? 様々な金属に鋼タイプのポケモンのDNAを混ぜ込んだ超合金だぜ? それを真っ二つにするって、どんな刀だよ?」
結構本気で知りたそうなイエロだった。
「この刀は御霊剣。私の家に代々伝わる宝剣です」
「……へえ。あたしにゃどうでもいいが、あの超合金を切り裂いた刀。それをバイオのジジイに差し出せば借りが返せるどころか貸しが出来るな……その刀、あんたには悪いけど頂くぜ」
またもニヤリと笑って、イエロは言う。
「それは叶いません。私は死んでもこの御霊剣を私の一族以外に渡すつもりはありません」
「そうかい。なら、あたしは死んでもその刀を……いや、よく考えればあたしは死んでまでその刀欲しくないな。じゃあ、死なずにその刀奪い取ってやるぜ!」
やや格好つかないが、イエロは豪語する。
「ダブラン、サイコショック!」
ダブランはここで今まで溜めた力を一気に放つ。その念波は威力もさることながら、範囲も広い。
「フー、避けてください!」
フーはそのサイコショックをかわそうとするが、ぎりぎりのところで当たってしまう。しかし浅いのでなんとか持ち堪えた。
「やっぱし防御系は大した事ないな。決めるぞ、雷!」
「フー、見切り」
ダブランは激しい雷撃を放つが、フーはそれを俊敏な動きでかわす。
「逃がすか、サイコショック!」
「とんぼ返り」
ダブランがまたもサイコショックを放つが、今度のはエネルギーが収束されていない分、とんぼ返りで突っ切られてしまう。
「ダブラン!」
ダブランはとんぼ返りを受けて戦闘不能になる。
「くっそ、戻れダブラン。出て来いエモンガ!」
「交代です、フー。出て来て、シキカ」
イエロはエモンガを、アカリはシキカ(メブキジカ)を出す。
「ふぅ、まさかエモンガまで出さなきゃいけなくなるとはな。こいつはあたしと違って可愛い顔してるからな、なんか劣等感感じちまうぜ」
ふぅ、と嘆息するイエロ。
「シキカ、砂掛け」
そんなイエロにはお構いなしにシキカは砂を掛ける。
「ったく、人の言うことを無視して攻撃すんなや。エアスラッシュ」
エモンガは真空の刃を放ち、シキカを切り裂く。
「シキカ!」
「おおっと? あんたは自分の心配してな。今この部屋には毒ガスが充満されようとしているぜ。あたしは解毒剤持ってるけど、あんたは持ってないだろ」
「……なら、シキカ、アロマセラピー」
シキカは体から花のような香を流し、毒ガスを浄化する。
「これで、問題ないでしょう?」
「ちっ、簡単にやってくれるぜ。この毒ガスはバイオのジジイのダストダスの毒成分から作った毒ガスだぜ?」
「……ところで、先ほどから言われているバイオというのは何方ですか?」
「あ? バイオってのはあたしと同じプラズマ団幹部で、メカニックだ。今頃あのチェレンとかいう奴はバイオのダストダスの毒に……あ」
イエロがしまった、という様な顔をした。どうやら口を滑らせたらしい。それにそれだけでなく、いつの間のかシキカはボールに戻され、アカリは下へ続く階段に走り出していた。
「おいおい! 敵前逃亡はいけないぜ!」
そう言ってリモコンのスイッチを押し、仕掛けを一気に発動させる。しかし、それら全てはアカリの御霊剣の前に切り裂かれ、抜かれてしまう。
「ちっ、仲間を助けに行ったか。あのスピードじゃあ、あたしが走っても追いつかないよな……にしても、さっきあたしにも刀掠ったぞ。結構血出てるわ痛いわ、刀って怖いな」
そう言いながら諦めたようにイエロは階段を上っていく。
なんでしょう、今回の話はなんだかキーボードを打つ手が止まりません。前後編にしても足りません。お陰でもっと書きたかったバトルシーンが書けなくて残念です……まあ、気を取り直して。次回はN対イリスのフルバトルです。お楽しみに。